午前2時の悪夢
「パパー!!」
「は?」
目の前には可愛らしい女の子。僕に向かってパパと言っているが、そんな事実はない。
「パパー?」
「パパなんですから、返事してあげてくださいね。」
「え、ナナシさん?」
女の子の次はナナシさん。御丁寧に普段は絶対つけない、エプロン姿だ。
『なんだこれは…』
女の子を良く見れば、髪は僕と同じ色で、目のあたりがナナシさんに似ている気がする。確かにナナシさんとは付き合っていて、そういう行為だってした。だが、彼女から子どもの話なんて聞いてないし、そのような傾向だってなかった。
「デリコさん、大丈夫ですか?」
「パパーだいじょうぶー?」
不審に思った2人から声をかけられるが、思考がついていかない。
「デリコさんっ」
ナナシさんが僕に触れた瞬間、世界が真っ暗になった。
「ひゅっ!!」
勢いよく息を吸い込んで辺りを見渡せば、夜の暗い自室。女の子もいなければ、もちろんナナシさんだっていない。
「夢、か」
夢にまで見てしまうナナシさんとの幸せな未来。しかし同時に、黄昏種であることが脳裏をよぎる。
『きっと生まれてくる子に、幸せは、ない。』
分かりきっている事実に、夢は消えていく。
後味の悪い夢だと時計を仰げば、丁度午前2時差していた。
あとがき
2013年初の作品…うわー、いきなり暗いよorz
で、でも甘いの増やしたいっ!!(←今年の抱負)
年始早々、こんなん読んで下さってありがとうございました!!!!