賽は投げられた
「嵐の前に」の続きです。
やっと一人落とした。
後はエリカだけだ。
総代やマイルズ兄達、それからナナシさんの為にも必ず…
「―下がれ エリカ」
この声は、
「…全くこうも早く見つかるとは」
何で、
「困ったものだよ、少々良い子に育て過ぎた様だ」
「そんな目で見ないでくださいよ。私のせいじゃありませんからね。」
「―…何で…」
エリカが戻った先、そのバルコニーには見知った3人の姿。
「どうして、貴方方がそこに居るんです」
何で、どうして―
「総代、ナナシさんっ…!!」
総代が煙草を出し、ナナシさんが慣れた手つきでジッポを近づける。
昔、俺もヤンも、まだエリカが一緒だった頃の光景―
「―どうしたお前達、そんな酷い顔をして」
いつもの落ち着いた声、微笑み、仕種
「…教えて下さいどうして貴方方が、エリカと」
ナナシさん、何でそんな表情してるんですか?
「何か…何か理由があってのことなんでしょう!ナナシさん!!」
2人の後ろでイヴァンが嘲笑う。自分の後ろからニコラスさんの荒い息遣いが聞こえるが、今はそんなことどうだっていい。
「貴方とナナシさんに、その男が殺せないなら僕がやります。」
貴方方は身内に優しいから…
「どうかご命令を!総代!」
「はは、ナナシ」
「妹の仇が目の前に居るとも知らないで―…・」
「そしてナナシのこと。本当に憐れで愚かな子だ、お前は。」
「え…?」
イヴァンの告白。そしてエリカの受けた仕打ち。
「黙れ !」
強い力で後ろに引かれ、同時にヤンが前に出た。マフラーが舞う。銃口がイヴァンとエリカに向けられる。だがそれは一瞬で、視界の端でナナシさんが僅かに動き銃声が響いた。
「っ、」
「ナナシ。―あぁ、愚かで憐れだが、お前はとても良い子だよ デリコ。」
僕は何をした。
「それはそれで結構気に入っていたんだが。」
「あ ち、違う そんな 」
「いや、違わんね。お前はお前の意思で、私の為にそれを撃った。」
そんな、違うって、言ってくださいナナシさん。
「―ただのけだものだ。」
「総代、」
「お前もそう思うだろうナナシ?私以外の男に、しかも黄昏種に抱かれる気分はどうだった?」
ナナシさん?どういう?
「お前もイイ思いをしただろう。具合がいいからな…・私の女は。」
「騙して、たんですか…?
妹が、妹が欲しいって言ってくれたんじゃ、」
「―演者が、ボロ出すわけないでしょ?」
賽は投げられた
あとがき
デリコちゃぁぁあああああん!!!!
総代あんたなんて人なんだ!?
だがしかし、そんなあんたもかっけーよぉぉぉぉぉぉぉぉおお。
6巻記念ですが、まさかこんな展開になるとは。最近深読み出来ずに、まんまと引っ掛かってます。
しかも、なんだか前回書いた「嵐の前に」が良いように繋がってしまうという。もうこれはこの話を書かずにはいれませんでした。
お目汚し失礼いたしましたぁぁっぁあああああ!!!
結局悲しいですが、少しでも報われたい方は下へどうぞ。
「くそっ!? 離せ若造がっ!!」
「その若造に組み敷かれちゃいかんでしょ。」
「ふっ、詰めが甘かったな、ナナシ?」
「エリカの事も、今回の事も…あんたなんでしょ!?」
「成程、伊達にデリコの眼を盗んで、私に抱かれていた訳ではないか。」
「当たり前!」
「まぁ、その結果がこれじゃあねぇ。天下の断罪者ともあろうお方が…」
「ははは、懐かしい軍名だ。なぁナナシ、お前は私のとっておきだ。
取引をしないか?」
いっしょに、おいで。
そうすればお前の愛しいケダモノは狩らずに生かしてやろう。
あとがきpart2
ここまでお付き合いありがとうございます!!
夢主どうしても悪い人では終わらせきれませんでした…。愛するデリコちゃんの為、総代に近づくも敗れ取引させられる。まぁ、側近なんで強さは承知の上、元より拒否権なんてないわけですよ。なんてこった!!!
お目汚し失礼いたしやした!!!????