遅れてやってくる人
*attention
この作品には一部性暴力を臭わすシーンがあります。
未成年の方、上記内容に抵抗がある方は閲覧をお控えください。事後に気分を害された等の連絡がありましても、管理人は責任を負いかねますことご了承ください。
では、大丈夫な方のみお進みください。
『この路地に入るんじゃなかった…』
自分の置かれた立場を理解して、やっぱりニコラスと来るんだったと激しい後悔に見舞われている。
「おぉ!いい感じの姉ちゃんじゃねぇの!!」
「タグはねぇから、簡単にヤレんじゃん。」
「俺抑えとくから、お前先な!」
目の前には複数の男。雰囲気や話からして、私を輪姦するつもりみたい。
『どうしよう、』
男達の様子をうかがいながら、逃げることだけを考える。私の力では到底かなわない相手だから、捕まって押さえこまれたら最後。好き勝手されてゴミみたいに捨てられる。
『そんなの、絶対に嫌っ。』
娼婦まがいの日々から足を洗って、便利屋として過ごす日々。まだ黄昏種とか抗争とかにはついていけないけれど、和やか毎日を過ごさせてもらっている。ウォリック、ニコラス、ヨエルさん、皆優しい人たちばかり。あの人だって。
「イイ思いさせてくれよ、別嬪さん?」
汚い笑みを浮かべた奴らが迫ってくる。どうにか驚かせてその隙に、そう思って行動に移そうとした。
「おほ、つーかまえた。」
気付かないうちに背後にも回られていたようだ。あっさりと肩を捕まえられてしまった。一瞬で反転する世界。押し倒されて、複数人の手が身体に触れて来る。
「ナナシさ、んっ!」
恐怖の中で頭に浮かんだあの人。彼の名を擦れる声で呼んでいた。
「お前ら、何してんだ?」
路地に響いた低い声。自分が呼んだナナシさんの声だ。でもこんなに低くて冷たいのは聞いたことが無い。殴りかかって来た男に綺麗なカウンターを返した後、ナナシさんは私に群がっていた奴らを次々に蹴散らしていった。
「あー、チャドさん?ナナシです。ゴロツキと一戦やったんすけど、いいっすよね?え、ダメ?いいじゃないっすかー。ま、よろしくお願いしますよ。」
伸びた男達を尻目に本部に連絡している彼。私は震えを抑えながら服を直し、2人で路地を出た。
「アレっちゃん大丈夫、じゃないよな。」
「ナナシさん、」
「怖かっただろ?ごめんな、もっと早く見つけれりゃよかったんだけど。」
済まなさそうに顔をしかめたナナシさんが、そっと私を抱きしめてくれる。彼の腕の中の暖かさと、よく知っている香水の匂いに、糸が解けてしまったように脱力してしまう。
「おっと、もう大丈夫だ。」
「うぅ、ナナシさんっ、私!」
「大丈夫だよ、アレックス。俺が付いてる。」
路地を出た所で、ナナシさんに縋りついて泣きはらした。泣き止んだ後は、便利屋のあるアパートまで送って貰って。中にいたウォリックがお説教されるのを笑って見ていた。
遅れてやってくる人
あとがき
男主の登場シーンがえらい遅い。
駄作でしたが此処まで読んで下さってありがとうございました。