Stay With Me.

「デリコさーん!」

遠くからナナシさんが走ってくる。

「ご、ごめんなさい! 待たせちゃいましたよね!?」

少し息切れして、赤らんだ頬。垂れ下がった尻尾と耳が見える気がする。

「いえ、僕も今来たところです。」

全てが僕の心を捕らえて放さない。



「無理を言ってすみません。」

「へ、何がですか?」

「大丈夫なんですかお店? 今日、お客多いですよね。」

それなのに、と続けようとしたがナナシさんに遮られた。

「デリコさん!お店なら大丈夫です!ちゃんと頼んできました。それに…」

「ナナシさん?」

言いよどんでしまったナナシさん

「嬉しかったんです。お出掛けのお誘い。」

はにかんだ笑顔が僕に向けられている。

「…ありがとうございます。」

他人と一緒に居ることが、こんなにも暖かい事だと思わなかった。

ましてや、自分に与えられるなんて

「ふふふっ、さぁ行きましょう!」

そう言って引かれる手に幸せを見た。


Stay With Me.

(ずっとあなたと共に…)





あとがき
甘いのか…?


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