蝶と蜘蛛

或る所に美しい蝶が居りました


蝶は毎夜、その美しい羽根で宙を彷徨います



ふらり、ゆらり、



或る夜、蝶は蜘蛛の巣に掛りました


そして蜘蛛は何の躊躇いもなく


美しい羽根を食いちぎりました…








「ナナシちゃーん。」


「…お仕事はどうされたのでありんすか?」


此処は何処ぞやかのアパートメントの一室。本来ならば光の射しこむであろう窓は、両側から遮断されている。


「いやー、早く終わっちったもんで。」


そう言うとこの男、ウォリック・アルカンジェロは、後ろ手にドアを閉め近づいてきた。
補足すると、このドアも内からは開かぬように細工されている。


「いい子にしてた?」


「いい子も何もっ!」


一瞬で詰められた距離。相変わらず無理やりシーツに縫い付けられたのが気に入らない。


「ねぇ、いい子にしてたナナシ?」


ねっとりと耳朶を舐め上げながら囁かれる。自身の意図と関係なく疼く身体に嫌気がさす。


「くっ!! いい加減、わっちを此処から出しておくんなんし!!!」


何度同じ言葉を叫んだだろうか?だが、この男は決まって、


「だーめ。」


「やめっ!」


「だって、此処から出したら、またお客取っちゃうでしょ?」


いとも簡単に頭上で押さえつけられた腕。目の前の隻眼は嫌な笑みを浮かべている。


「んー、まーだんなこと言うかー。」



―もっと壊さねぇーとなぁ








或る所に隻眼の蜘蛛が居りました


蜘蛛は毎夜、その片目で宙を見つめます


ふらり、ゆらり、


或る夜、念願の獲物を捕らえました


毎夜毎夜、見つめていた蝶を


そして


蜘蛛は何の躊躇いもなく


美しい羽根を食いちぎりました






蝶と蜘蛛


(これは―)


(よくある蜘蛛と蝶のお話)





あとがき
ウォリック書いてみました。なんでこうなった!?!?

多分廓言葉を使ってみたかっただけです。どなたか彼の方言教えてくださいoyz


駄作でしたが読んで下さってありがとうございました!!

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