差出人不明



「これどうしましょう…」


店のカウンターに突っ伏したまま、視線の先にあるものを見ました。




「あ、あのっ!」


「ふぇ?」


「ナナシさん、ですよね?」


「え、えぇナナシですが。あの、「こっこれ、ニコラスさんに渡してください!!」え、貴女は!」


私の呼びかけに目もくれず、走っていく女の子。手元には強引に握らされた手紙が残っていた。




「どうしましょう…?」


ニコラスさんはこのお店の常連さん。よくお話はするけれども…唯それだけの私にこれを預けるのはどうなんでしょうか?


「アレックスさんの方がいいですよね、絶対に。」


豊満なお胸を持った美人さんが脳裏に浮かびます。


「本当にどうしましょう?」


『よお。』


「ニコラスさん!」


少しラフにスーツを着た彼が立っていらっしゃいました。


「い、いつものでいいですか?」


『あぁ』


何処か思案顔なニコラスさん。お客様にこんな顔をさせてしまうなんて、店番失格です…


『これのせいか?』


「手紙ですか?」


『なんか言われてるんじゃないのか?』


「言われてる?」


え、もしかしてニコラスさん。この手紙のこと分かってるんですか?


「えっと、ニコラスさん、これ。」


『俺にか?』


まじまじとそれを見る姿を、つい可愛いと思ってしまいました。


『すまない。』


「いえ、私は頼まれただけですから。」


『頼まれた?』


「はい。先日可愛らしい女の子がそれを。」


『お前、じゃないのか?』


「違いますよ?」


とても可愛らしい方でしたよと言うと、何とも言えない表情をしたニコラスさんの目が私と手紙を行ったり来たりしていました。



差出人不明の手紙




(『名前が書いてない…』)


(え、書いていらっしゃらなかったんですか!?)





あとがき
『求めるもの』主っぽくしてみました。いつもの子ではないです。

駄作でしたが、此処まで読んで下さってありがとうございましたぁぁぁぁあああ!!


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