No name
未完成の絵画。まだ明確な名前は無い。
軽くノックの音が聞こえた。
「どうぞ。」
「準備できたかデリコ?」
その主はヤン。普段から自分を支えてくれている人間のうちの一人。
「おっ、様になってるじゃねーの!」
「…ありがとうございます、ウォリックさん。」
相変わらず僕のことをちゃん付けで呼ぶこの人も、その一人。
「なーに辛気臭い顔しちゃってんの、今日は特別な日になんだべ?」
―デリコちゃんにとっても、そんで、ナナシにとっても―
そう、今日は本当に特別な日。だけれども、僕の心の片隅には黒い靄がかかったまま。
『黄昏種』
ナナシさんを愛していることに変わりはない。だから、これは一生癒えることのない僕の後悔。
「―、はい。分かりました。」
「んー、そろそろ時間?」
「はい!」
「そんじゃ、行きましょーか。」
窓の外には晴天が広がっている。まだ2月だから寒いが、ほんの少しだけ春の兆しを垣間見た。
ステンドグラスに向かうようにした祭壇。両側にはファミリーのメンバーや見知った顔が沢山あって落ち着かない。
ナナシさん。僕に曲がらない意志をください。消えない愛をください。
差しこんだ光で煌めくステンドグラス。赤、黄、緑…様々な色にナナシさんとの思い出が浮かぶ。
このステンドグラスのように、僕と貴方の思い出が重なり合って一つの絵になっていくと思いたい。
その一つの節目が今日。だから―
僕等の関係に新しい名前を…
扉が開いて、総代と共にバージンロードを歩く貴方は何よりも美しかった。
あとがき
気分転換に曲を変えたらこうなりました。まだ全然寒いのに!?春!?なんて思いながらポチポチと…
情景描写が乏しいので伝わらない気がしてならない可哀想なブツでした。
こんなんでしたが、読んで下さってありがとうございました!!!
inspired by ノーネーム