04
「お前たちの働きに期待しておるぞ。」
「「「「我が主の御心のままに。」」」」
件の国王は随分と面倒な存在だった。持ち帰られた報告は主の機嫌を悪くさせるものばかりで
『数年前に現れた迷宮の攻略とそれに乗じて、この辺りを統べるのが目的かと。』
更にあの不審者の発言が主の怒りを煽った。
「何の用でしょう?」
「おやおや、そんなに怖い顔をしないでください。折角の可愛らし、」
「何の用かと聞いている。」
一瞬でその男との距離を縮め、腹部に短剣を当てた。
「くっくっく…」
「何がおかしい、銀行屋…」
「スカーレットは噂よりも愛らしいと。」
ぞわりと背筋を悪寒が走り、詰めた時よりも速く飛び退く。
「悪趣味が、」
「まぁ、これ以上嫌われたくありませんからねぇ。」
既にこれ以上ないほど嫌っていると、口にしそうになって止めた。
『何を企んでいる。』
自分の勘がそう警戒しているのだ。
「ふふふ、そう言えば、」
「なっ!?」
言いたいことだけ言って消えた銀行屋。胸糞悪いったらありゃしない。
『シンドバット御一行に、貴女と同族の方がいらっしゃるそうですよ…』