機が熟す
「あら、御帰りでしたか兄王様。」
離れの廊下を歩いていると、角から義兄妹のナマエが出てきた。白瑛、白龍の姉である彼女は武には秀でていなかったが、他の誰よりも機転が利いた。そのため他所に出すのはかえって危険とされ、異例の文官としての地位を築いている。俺が思うに、彼女こそこの国に飼い殺されていると言った方がいいだろう。
「御耳にいたしました、東部の平定おめでとうございます。」
「余所余所しい、お前の策が有ってこそだ。」
「何を仰います。兄王様の御力有ってこそですのよ?」
そんなことはないと口元を袖で隠す仕種に、緩く結った長髪が揺れた。平素より笑みを絶やさないナマエ。ふいにその表情を歪ませてみたいと思うのは、己の好戦的な性格のせいだろうか。
「此方も聞いた話だが、また求婚されたらしいな。」
「まぁ、お早いこと。」
「大事な文官だからな、直ぐに耳に入る。」
「勿体無いお言葉、至極経悦ですわ。ですが、御許しにはならないでしょう。」
貴族、他所の皇子と引く手数多の様子は健在らしい。嫁ぐことはないと分かっていても何処か口惜しい。いつか何処の馬の骨とも分からない男に、ナマエが抱かれる姿を想像し嫌悪する己が居るのだ。
嫁入りまで貞操を固く守ることが決まりである皇女達。特に、今まで嫁いだことがない彼女は生娘のまま。あぁ、早く今以上の地位と力が欲しい。そして、その柔肌に喰らい付き、瞳を濡らすお前に男を教えるのが俺であればいい。
機が熟す
(その時、お前は俺の正妻になる。)
あとがき
勝手な妄想が詰まってます!!
煌で皇女達は貞操守る設定にしてみました。王族なら当たり前なんかな?どうなんでしょうね。
それから、紅炎さんの性格が俺様、何様、紅炎様でもないです。色々関係なく自分の物にしちゃうのも考えました。しかし個人的に、彼は他に何も言わせない、させないだけの力を付けてからやるんじゃないかなーと。今は身内に敵がいますからね。あれ、敵と認識していいのかな…?
こんなんでしたが、此処まで読んで下さってありがとうございました!!!