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違和感があった。


ナマエとの交戦。
何度か繰り返していた筈なのに
疲れた様子が一切ない。


むしろ早さ、力強さ
全ての能力が
向上している。
一体どういうことなんだ。


「うぐっ、」


刹那俺を吹き飛ばした彼女が
苦しみ出した。


「一体どうしたんだ彼女は?」


シンさんが呟く。
ナマエは傷跡の走る
右目を両手で押さえていた。


「あぐぅ、ぎぃん行やぁ!!」


離れた所にいた
銀行屋に彼女が叫んだ。


「やっと完成だ。」


仮面の男が何を呟いたのか
理解できない。


「お前ぇ、あのと、っう
何をしたぁぁあ!!」


あの時?
彼女にあの傷ができた時の事か?


「『治療』だ。
眼球としての機能は失っても
我々の役に立てるのだ。」


所詮お前も被検体。
そう言わんばかりの物言いに
俺の中の何かが崩れてゆく。


「あぐぅう、
あぁああああぁぁぁああ!!!」


右目から広がった
黒い何かに彼女が包まれ、
視界が晴れたそこにいたのは
形を留められていないナニカだった。




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