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「何処ですかここー!?」
こんにちは、技術局のななしです!貳號艇に修理した羊をお届けに来ました。
とりあえず、絶賛迷子やってます。
「うぅ、ホントここ何処…?」
周りにはケーブルやらが見えます。えっ、通路じゃない?そんなのさっきからバシバシ感じてます。羊がいたらいいのに…案内してくれていた子とは早々にはぐれました。
唯一の頼みは手元にある地図。実は貳號艇にお邪魔するの初めてなので、上司から渡されていたんですけど―
「ごめんなさい。流石にこれは分からないです。」
渡された地図には大まかに描いた艇の断面、入口らしき丸、目的地らしき黒丸しか描かれていませんでした。うん、これでどうしろと?
「あれ、追記がある?」
P.Sと書かれた所に急いで目を走らせた。
『後は羊が教えてくれる。』
「その羊がいないんですよ!?」
丸投げした上司の地図にツッコミを入れたその時、突如艇が揺れた。
「うぇっ、」
一瞬のことだった。羊を積んだカートがバランスを崩した。
ガシャンッ!!
「ゲホ、あれ?」
カートに引きずられて、通路から落ちた―
(落下する瞬間に気付いたんですけど、実際は動力パイプでした。)
筈なのに、予期していた衝撃は襲ってこない。伝わってくるのは何故か温かさ。
「ずいぶん大胆なお嬢さんですね。」
「へ?」
下から聞こえてきた声。驚いて目を開けば、若い男性を下敷きにしていました。
「す、すみませんでした!?」
お互いに起き上がり、謝罪。男性は埃を払っていらっしゃいます。
「揺れたと思ったら、貴方と羊が落ちて来て驚きましたよ。」
「はっ!羊!!!」
羊と言われて周囲を見渡しました。地獄絵図、とまではいきませんが、無残にも大量の羊が散乱していました。
「ど、どうしよう!うぁー、壊れてませんように!!」
ひー貳號艇長に怒られてしまう!?男性をそっちのけにして、羊のもとへ走り寄った私。
「…」
下敷きにしていた男性がこちらを見ていたことには気がつきませんでした。
よかった、全部無事だった。
「奇跡だ…」
ホッとして思ったことが口から出た。
「何が奇跡なんですか?」
「ふおおっ!?いらっしゃったんですか!?」
「すみません。自分も気になったもので。それより、ずいぶん集中してあった様ですがどうでしたか?」
「全部無事でした!まさに奇跡です。」
嬉しさのあまりにはにかむのを堪え切れない。
「っ、 よかったですね。」
「はい!」
そんな会話をした後、御厚意に甘えて帰り道を案内してもらっています。なんて優しい方なんでしょうか!?
「ありがとうございました。ハプニングはあったんですけど、何とかお届けできました!」
「それは良かった。」
「はい。これで貳號艇長さんに怒られずに済みます!!」
「?貳號艇長を知らないんですか?」
「あはは、恥ずかしながら。私まだ新人で、貳號艇に来るのも初めてなんです。」
「そうだったんですか。」
「でも、本当にすみませんでした。助けて頂いたのに、まともに謝罪もしないまま放置してしまって。」
「いえ、気にしなくていいですよ。あれはあれで面白かったので。」
「ハハ、スミマセンデシタ。」
到着した入口。行きはあんなに時間がかかったのに、帰りはその半分もかかりませんでした。
「本当にありがとうございました!」
「次からは羊を見失わないでくださいね。それじゃあ。」
「はい。」
光に包まれる瞬間、手を掴まれた。
「え?」
「お名前をお聞かせ願えますか?」
「 ななしです!あな―」
貴方はと聞き返す前に強制退場。躓く様に降り立ったそこは、自分の職場の屋上だった。
初の貳號艇訪問から1カ月たった。
『どうしちゃったんだろ私?』
あれから聞けなかった、彼の名前が気になって仕方がない。
「はぁ。」
「溜息なんてついてどうしたんですか?」
「え、」
聞き覚えのある声。
「貴方は―」
「1カ月ぶりですななしさん。それからはじめまして。」
この前の続きからはじめましょう。
(貳號艇長の平門です。)
(え、貴方が艇長さん…)
あとがき
絶賛迷走中!!ここまで読んでくださってありがとうございました!!!