僕と彼女と仕事の関係
過去設定あり
「ですが輪の統括が僕に代わってもう5年になります。そしてこうやって---確実に絆を築けている。時と出会いは味方だと思っています。変わっていきますよ。」
やっとここまで来た
『がんばってね、時辰君。応援してるわ。』
僕と彼女と仕事の関係
まだ、僕が執政官になる前の話だ。
「あー、だるかった。」
「そういってやるなよ。」
「ったく、今日も今日とて我らが統括官様は研案塔がお嫌いだったようで。」
「確かに毎回あんな調子じゃ、周りにいる僕らのことも考えて欲しくなるな。」
「だろー。あそこまで対立しなくてもいいだろうにさ。」
「いつか僕が手を取って歩めるようにして見せるさ。」
「おま、夢見んのはいいけどな。それ執政官様に聞かれたらただじゃすまねえぞ。」
「そうね。そんなことあの人に聞かれたら、謹慎どころの騒ぎじゃないかもしれないわ。」
「あ、あんた研案塔の!?」
確か、研案塔副指揮官のななしさんだよな。
「あはは、こんにちは。実はその統括官様に呼び出されて来たんだけど、部屋が分からなくて困ってるのよね。嫌かもしれないけど、案内してくれないかな?」
「え、俺は…」
「僕が案内しますよ。」
「ありがとう。早速いいかしら?」
「もちろん。じゃあ、僕案内してくるから先に戻っといてくれ。」
「あ、あぁ。」
これが僕とななしさんの出会い。
「嫌な役頼んじゃってごめんね。えーと」
「時辰です。別に嫌だなんて思っていませんよ。」
「時辰君ね、よし覚えた!まぁ、君さっきあんなこと言ってたくらいだからねぇ。」
「そんなに睨まないでください。さっきの言葉は僕の本心です。」
「へぇ、こんなに仲悪いのを知っているのに、よくそんなこと思えるね。」
「敵を倒すためには身内で小競り合いをやっている場合ではない、そう思うんですよ。」
「なるほど、今の私たちを馬鹿にしたいのね。」
「まさか、そんなわけないですよ。研案塔の調査、治療のおかげで輪は動くことができている。お互いになくてはならないんです。」
「 珍しいわ。今の統括にこんな考えの持ち主がいるなんて。」
「よく変わり者だと言われますね。」
「ふふっ、でしょうね。私も、できれば仲良くしたいのよ。だってその方が私たちの目的にとって有益でしょう?」
驚いたな。現役の役職は皆対立していると思っていたが…
「びっくりでしょ?ま、思っていたところで、上に立っても何も変えられなかったんだけどね。」
「そうだったんですか。でも、何故それを僕に?」
「んー、なんとなくかな。」
「以外に適当なんですね。」
「あ、馬鹿にしたでしょ。」
「いえ、そんなことは…っと、ここです。」
「良いタイミングね。あぁ、忘れてたわ。知ってると思うけど、研案塔副指揮官のななしよ。」
若くして副指揮官まで上り詰めた女性。今まで興味すらなかったのに、もう少し話をしてみたいと思った。
「時と出会いは味方。出会えてよかったわ。がんばってね、時辰君。応援してるわ。」
部屋の中に消えていく彼女の背中をただ見送ることしかできなかった。この時から僕は上に立つことを強く意識するようになったんだ。
そして今
「それじゃあ、儂等は失礼しようとするかのう。」
「あら、お久しぶりです、療師。それに燭君。」
「おお、ななし。久しぶりじゃな。」
「お久しぶりです、ななしさん。」
「燭、今でもななしには、礼儀正しいからなあ。」
「どうしてななしさんが、お前のような奴と一緒になられたのか理解できん。」
「あら、燭君。簡単なことよ、女のカンなんだから。」
「そういう類は信じない主義なので。」
「そんなんじゃ奥さんできないわよー。」
「もっと言ってやってくれんかのうななし。」
「療師、ななしさん、余計なお世話です。帰りますよ。」
「あはは、燭君が怒った!それじゃあ、またお会いしましょうね。」
「あんまり燭をいじめるなよななし。」
「久しぶりでついね。そうだ、今度研案塔にお邪魔してもいいかしら?今の研案塔が見たいわ。」
「ずいぶんと変わったんだ。」
「楽しみだわ。」
「ななし」
「抱きついてくるなんて、今日は甘えたさんなのね。」
「やっとここまで来たんだ。少しは労ってくれよ。」
「 御苦労さま。正直ここまでくるなんて夢にも思わなかったわ。」
「ななし?」
「ありがとう、時辰。」
「時と出会いは味方、そう言ったのはななしだろう?君との出会いが、今こうやって形になっているんだよ。」
「じゃあ、私のなんとなくは当たったのね?」
「そういうことだな。」
「ふふっ、これからもがんばってね、my darling?」
「Tahnk you, my honey.」
これが僕と彼女と仕事の関係。
あとがき
単行本読み返してて出てきたお話です。こんな背景があったらいいなーって。今回、昔は上司、今は奥さんな設定を描きたかった!!?妄想力くぁもーーーーん!!!!!そんでもって初めて文章内で文字色変えてみました。ドッキドキ☆