雪国マーメード
じりじりと肌を焦がす太陽の日差し。水面に反射したそれが、遥か遠くに蜃気楼を作り出している。

「ななしさーん!!」

燦々と照りつける太陽の下、私たちはリゾート地として有名なビーチに来ている。白い砂浜で、元気よく駆け回っている无ちゃんが可愛らしい。どうやら海自体が彼にとっては物珍しいらしく、あっちこっち見て回っているようだ。

「呼ばれてるわよ、ななし。」

名前を呼ばれた私はと言うと、パラソルの下で伸びきっている。目も当てられないと言った風だが、対応してくれるイヴァに感謝だ。

「溶ける、ぽ。」

完全に熱さにやられてしまった発言は无ちゃんにまで届いたようで、遊んでいた彼らがパラソルの下へやって来た。心配そうな表情の无ちゃんとツクモ、與儀は置いといて、花礫、あんた遊びたいですって表情が隠しきれてないよ…

「ななし、大丈夫?」

「ねぇ、花礫!ななしさん、本当に溶けたりしないよね、しないよね?」

「えぇっ!?溶けちゃうの!!?」

「はぁ?ばっかじゃねーの、人間が溶けるわけねーじゃん。」

うん、一応人間だからね、溶けませんよ。无ちゃんならともかく、與儀何であんたまで驚いてる…

「この子極寒の生まれだからねー。もしかしたら、そのうち溶けるんじゃない?」

「イヴァ、憶測で物を言ってはいけないわ。」

「待て待て待て、私は溶けねーよ!!」

無駄に叫んでしまい、残っていた僅かな元気を失ってしまった。あ、ヤバイ。すんごい向こうの水面に燭先生が見える。うわー、何のお迎えだろう。

「こんな時一体どうしたら…」

霞んだ意識の淵で微かにツクモの声が聞こえたと思ったら、突如浮遊感が私を襲う。周囲の喧騒が遠い。あの燭先生は、やっぱり何かの使いだったようだ。

「ふごうぅ!?」

叩きつけられる衝撃に身を固くした瞬間、全身を包む水の感触。目を見開けば、一面の青い世界と美しい海の生物たち。あぁ、海の中ね…

「って、死ぬわ!!」

急いで酸素を取り入れに行く。放り投げた形のままのツクモと无ちゃん、與儀はおろおろしていたが、花礫君とイヴァは爆笑していた。とりあえず、あの二人を海に引きずり込もうか。


雪国マーメード

(覚悟しなよ、2人とも。)

(能力使うとか、卑怯だろ!!)

(餌食になってらっしゃーい。)


あとがき
久々のup。夏のを妄想したいんに、お外で雷さんが邪魔される今日この頃。

駄作でしたが、此処まで読んで下さってありがとうございました!!

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