虹の架かった橋
「あっ、雨止んだね!」
隣を歩いていた與儀が目の前に躍り出て喜んでいる。
「よかったー。途中で降り出したから、びっくりしたんだよね。」
「えーっと、ななしちゃん?」
「どうしたの、與儀?」
そわそわとしている彼。さっきまで輝いていた瞳は目尻が下がって、まるで震える大型犬のよう。
「あ、あのさ、予定より早く終わっちゃったから…その、ぶらぶら、しませんか?」
俯いてしまっているけれども頬が真っ赤なのがよく分かった。しかも、緊張しているのか語尾が敬語になっている。
『緊張することなんかな?』
「えと、ななしちゃん、ダメ?」
「っ、いいよ!ほら、何処行きたい?」
多分私の顔も、與儀に負けないくらい真っ赤だと思う。與儀はもっと顔が整っていることを自覚すべきだ。だって、今みたいに紫の瞳を潤ませ、小首を傾げられたら誰だって嫌とは言えない。
『あーもう、惚れた弱みって厄介!!』
「うわぁ、見てななしちゃん!すっごいよ!!」
「んぅ?」
彼が差す方を見ると虹の架かった橋。縦のアーチに重なる横のアーチを上から見たいなんて思って直ぐに消し去った。
「すっごい、綺麗…」
「でしょでしょ!!上から見てみたいよねー。」
與儀が自分も考えたことを口にして、彼の方を向いたまま固まってしまう。
「し、しないよ!?人目につく所で飛んじゃダメって言われてるから!!」
「え、いや違うの與儀!」
「違うの?」
「その、同じこと考えてたの。飛んで見たいなって…」
「俺と同じこと考えてたの?ななしちゃんが?」
「う、うん…」
決まりが悪くてそっぽを向いた私。きらきらした視線が刺さってるのは、きっと気のせいだ。
「えへへ、俺たち通じ合っちゃってるね!!」
そのまま、2人顔を真っ赤に染めて7色のアーチをくぐった。
虹の架かった橋
(えっと、何て言うんだっけ、意志疎通?)
(もしかして、以心伝心のこと?)
(それ!!さっすがななしちゃん!!!)
あとがき
えっと、與儀に挑戦してみました。タイトルの『虹』に反応して无ちゃんの共演を期待してくださった方々…すみませんでしたぁぁああ!!!
勝手なイメージなんですが與儀たんはそのまんまゴールデンレトリバーやと思ってます。
きっと世の女性は彼が涙目でダメって首かしげて来たら落ちる…筈!?母性なのか、母性を擽られるのか!!??
こんなんでしたが読んで下さってありがとうございました!!