ヒロッターで婿を募集した件について@mirage_xxxx



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@eraser.head
潜り込んだ布団の中で、未だ鳴りやまないスマホ。渋々もう一度ヒロッターを見ると、先ほどよりもリツイートの数が増えていて、更に頭が痛くなる。

「うわぁ、コメントもいっぱい来てる…。」

酔っぱらった勢いで投下した爆弾には、思いの外いろんな人から反応が返ってきていた。スライドしてそれらを流し読みしていると、とあるヒーローの名前を見つけて指が止まる。

イレイザーヘッド@eraser.head

息が止まるかと思った。何故なら、彼はヒーローの先輩で、睡さんと同じ雄英高校で教師をしている人。そして私が個性を扱えるようになるため、お世話になった人の一人だったから。

「いれいざーへっど…。」

ゆっくりと彼の名前が口から滑り落ちた瞬間、玄関のチャイムが鳴り響いた。

「うぅ、こんな朝から…だれ?」

オートロックの画面をしっかり確認もせずに、いきなりインターフォンを繋ぐ。「はい」と酒に擦れた声に、よく知った、いや先ほどまで考えていた先輩の声が返ってきた。驚いて、セキュリティモニターを見ると、ヒーロースーツ姿のイレイザーヘッドと目が合った。

「俺だ。」

「へ?先輩?」

「居るなら、とっとと開けろ。さみい。」

「!すみませ、ったぁ…。」

寒いと言われて何も考えずドアを開けた。すみませんと叫びかけたせいで頭痛が酷くなる。頭を押さえていると、目の前からカチャリと鍵のかかる音がした。何事かと名前を呼ぼうとすれば、目の前が真っ暗に。

「イレイ――。」

「俺にしとけ。」

「は?」

「昨日のヒロッター。そんなに結婚したいなら、俺を選べよ。」

「なに、言ってるんですか?」

「それはこっちの台詞だアホ。俺が何とも思ってない奴の個性訓練なんかに、付き合うと思ってんのか?」

「いや、だって先生だし…。」

「お前の面倒見てた時は教師じゃなかった。」

「でも、先輩面倒見いいから…。」

「惚れてなきゃ、自分の性格まんまオウム返ししてくる奴の相手なんて非合理的なことしねえ。」

「でも…っ!」

あのイレイザーヘッドが私に惚れているだなんて。混乱して顔を上げれば、待ってましたと言わんばかりに彼の唇が重ねられた。

「んっ。」

「はぁ…酒臭ぇ。」

「す、すみません…。」

「いや、謝らんでいいよ。むしろ酒の勢いには感謝してる。」

「っ!?」

「ヒーロー、身長183cm、猫が好き。」

抱きしめられて、首元に埋められた彼の髪や髭がくすぐったいと身じろぎをする。ぽつりぽつりと紡がれる言葉が、私が呟いた条件だと気が付いたのは、彼が鎖骨に舌を這わせてきた時だった。

「やっ。」

「面白い、優しいは分からんが…。」

「ん、イレイザー?」

「お前の個性はよく知ってるし、いろんな表情が見れるのは単純に嬉しいと思う。」

「っう。」

「なあ、俺にしとけよ。」

顔を上げた先輩がこちらをまっすぐに見てくる。その余りにも真剣な赤い瞳に、ずっと何なのか分からなかったその感情に漸く名前を付けることができた。

「鏡子?」

「あの、私も好きなんだと思います…。」

「なんだその思いますって。」

「ヒッ!だってぇ、ずっと尊敬だと、思ってたんです…。」

「は?」

「だから!個性訓練の時から、イレイザー先輩を尊敬していたんです!」

「で、実際それは尊敬じゃなくて、思慕だったって気が付いたってわけか。」

「うぅ、はい。さっき…。」

「はぁ…。ミッドナイトさんと、酒に感謝だな。」

「へ?ちょ、イレ、んむ。」

「ん。名前。」

「うああ。2回目…」

「名前。あと、キスくらいで固まんな。」

あぁ、そこも俺が教えようか?――

ぶわりと顔に熱が集まるのを感じていると、笑いを堪え切れなくなった先輩の手が私の頬を撫でる。寄せられる顔に逆らうことなく、3度目の口づけを交わした。



イレイザーヘッド@eraser.head
返信先@mirage
んな非合理的なことしなくても



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