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ヒロッターで婿を募集した件について
@mirage_xxxx
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【公式】今日のミラージュ
「ミラージュ!そっち行ったぞ!!」
「分かりました!」
ビジネスマンやお買い物中のマダム達で賑わう昼下がりのビル群に、今日は不穏な空気が立ち込めている。耳につけた小型無線から、敵が私のいる区画に向かったと連絡がきた。
「こんな昼間っから人質なんて!」
とある商業施設ビルで立てこもりがあったのだ。近くの事務所に要請がかかり、駆けつけてみればミルコさんが既に犯人一味を取り押さえた後だった。その場に居たものが皆、流石ミルコさんだと感心する最中、人質だった女性の1人が息子がいないと騒ぎだした。
『有君!有君どこ!?お母さんはここよ!出て来て!』
『落ち着いて下さい。きっと怖くて隠れてるだけですよ。』
『ああ!私達が探すから待ってろ!』
『は、ははっ…。』
『ああん?何が可笑しい?』
『そいつの子どもは、仲間が連れ去ったよ!良い個性だからな!!』
『な!まさか、その子を誘拐するために!?』
『ギャハハハハ!もう遅えよクソヒーローども!!』
思い出すだけで胸くそ悪い敵の笑い声。その場にいたヒーロー達は数人を残して、少年の捜索に出たのだが、発覚まで時間がかかったこと、何よりその敵が逃走に長けた個性だったせいで中々捕まえられずにいた。
「っ!いた!!」
「ちっ、ヒーロー!…ミラージュかよ。」
建物の角から出てきた敵の行く手を塞ぐように立つ。最初舌打ちしたものの、私だと分かった途端余裕を醸し出す敵に舌打ちを返す。しかし相手の個性を映したところで、私1人で人質の子どもまで救うことは無謀すぎる。顔を真っ青に泣き叫ぶ少年とそれを抱える敵を見据えたまま、仕方なく時間稼ぎのため相手に話しかけた。
「人を見て舌打ちしたらいけないって親に習わなかったの!?」
「ふざけんな!ヒロッターで募集しなきゃ結婚できねえ女が!!」
「なっ!!?それは関係ないでしょ!!というか、真っ昼間からこんな騒ぎ起こすなんて、良い大人のすることじゃない!!」
「真似事しかできねぇテメエが言うな!!くそ、お前もさっきからうるせぇんだよ!!」
「っつ!有くん!!!」
逆に煽ってしまったようで、敵が有くんを地面に落とした。さらに泣き叫ぶ子どもを足下に、ニヤリと笑みを深くする敵。
「乱暴しないで!その子の個性がほしいんじゃないの!?」
「はっ!死ななきゃいいんだよ。それに、目の前でヒーローがやられれば、言うこと聞くだろう。なあ?」
「ヒッ。たす、たすけ…。」
『ちっ。早く誰か!?』
「いっ、いだい!いたい!!!」
「有君!」
「ほら、早く救けてやれよヒーロー?まぁ、真似事しか出来ねぇお前にヤれるんならよぉお!!」
「ふざけん!?」
個性の都合上、視野は広い方だ。だから上空に現れたその人にいち早く気がつけた。この場に格闘技で彼女に敵うものはいない。彼女、ミルコさんを信じて私は人質の少年を保護するため駆け出した。
「はん!ザマねえな!!」
「クソッ!!時間稼ぎか!!」
「有くん!大丈夫?」
ミルコさんが敵を取り押さえている横で、地面に伏した少年を抱き起こす。恐怖のあまり硬直していた体は、私の体温に触れて安心したのか弛緩し、目から大粒の涙が零れる。もう大丈夫、その声は少年の泣き声とその体から発された光によって掻き消された。
「うわぁぁあああん!!」
「ミラージュ!!」
「有君!もう大丈夫!ミルコさんが敵を捕まえてくれたわ!!」
今度こそ、もう大丈夫だと少年を抱きしめる。私の声が聞こえたのか、泣き声も光も落ち着いていく少年。恐怖のせいで個性が暴走したんだろう。敵が欲しがる位だが、特に身体ともに影響を感じない。不思議に思ってると、私を心配し近寄ってきてくれるミルコさんと視線が交わった。
「ぐぁ…!」
「どうした、ミラージュ!?」
今までに感じたことない、体内の痛みに思わず声が出てしまう。それでも『私はヒーローだ』と、腕の中にいる少年が落ち着くまで彼の背を撫で続けた。
後から駆け付けてきた警察に少年を預け、軽く事情聴取を受けていると、警察からも通りすぎる他のヒーローからも二度見されたり、目を見開かれる。
『何だろ?今日は個性使ってないから、普通なんだけどな。』
「おまっ!」
不思議に思っていると、後ろから相方の声が聞こえてきた。振り向けば目を見開いて口を開閉させているではないか。
「どうしたんですか?」
「ミラージュ…お前今日個性使ったか?」
「いえ、使ってませんよ。」
「…そうか。確認するが、お前は動物や触手とか異形系は映せなかったよな?」
「そうですけど…、それがどうかしたんですか?」
唸る彼を見て首を傾げる。何が言いたいのか全く見当が付かないでいると、重々しく相方は口を開いた。
「驚いて死ぬなよミラージュ…。」
「え!?そんなヤバイんですか!!?」
「ああ。まずお前は個性を発動して、映してる状態だ。」
「そんな…。」
「しかも、あり得ない筈の異形系…。」
覚悟を決めてコクりと頷く。すると彼も固唾を飲んで、ゆっくりと横を指差した。見ろと言うことだろう。じっとりと汗をかいた手を握りしめ、横を向く。
「な…。」
言葉は続かなかった。ビルのガラスに映った私は確かに個性を発動した覚えはなく。またこれまでに映したこともない姿だった。
「なにこれぇぇぇええええええ!!!!!!」
「ウサギじゃぁぁあああい!!!!!!」
ガラスに映る叫ぶ私には、ウサギ耳がついていた。
【公式】今日のミラージュ@kyomira
さんが「ラビミラ」をアップしました。
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