弔いなんてもってのほか
くすんだ空、今にも降ってきそうなどんよりとした空。

雨、もしくは降りそうな日は大体気分が沈む。どんよりとした雰囲気がそうさせるのだと思うのだが、こういう日にはどうしても火星で起きたあの忌まわしい数日間が頭から離れない。

気分転換に、目頭を揉もうと目をつむれば、瞼の裏に浮かぶ秋ちゃんの最期。そんなものをと思って頭を振れば、次はティンの最期。

恐ろしくなって目を見開く。見えるのは窓越しに見える先ほど変わらず薄暗い雲たち。少しでも逃避したくて頭を抱えても、脳裏に浮かぶのは秋ちゃん、ティンそしてあの日失ってしまったバグズの仲間たちの姿。それぞれの姿格好だけでなく、誰とどんなやり取りをしたのかも鮮明に覚えている。

「忘れられられるわけがないっ」

逃れられない呪縛。いや、本当は・・・

「自分が許されたくないだけ、でしょ?」

「なっ!ナマエ!?」

新たな計画、アネックスで上位に食い込む猛者、ナマエ。年は燈たちと変わらないが、異様に圧のある人間。きっとそれはこの計画に参加する理由のせいだが。

「ロックかかってなかったから入らせてもらいましたよ。てか艦長ともあろうお方が、鍵かけ忘れるとか大丈夫なんですか?ただでさえこの部屋アナログなんだし。」

「あぁ、すまない。用心する。」

気まずさを覚えながら答えたが、まっすぐに向けられた目はそんなことどうでもいいと物がったっていた。

「ナマエ、言いたいことがあるなら、」

「じゃあ遠慮なく、いい加減進んだほうがいいんじゃないですか?」

「っ、」

「正直、見てて腹が立ちます。船員の前じゃ明るく振る舞ってるつもりでしょうけど、少し離れるとすぐ囚われる。あんた、この計画にどんだけの大勢の命がかかってると思ってんだ。」

「それは、わかってるつもりだ。」

「いや、わかってないね。船員だけじゃない、全人類と言っても過言じゃない。あんたの肩には200とかそんなんじゃない、60億ばっかしの人間の命が預けられてんだ。」

「ナマエ・・・」

「だから、死にに行くなんて誰が許すか。」


弔いなんてもってのほか


(あ、ミッシェルさんが呼んでましたよ)

(え、それ早く言おう!)



あとがき
ご無沙汰してます!
タイトル間違ってるよな・・・なんて思いつつ、書いたときにパット出てきてたやつなんで、変えるのもおっくうでそのまま上げちゃいます!

コミックスがよみたい!!!!!

お目汚し失礼いたしました!!!!!!
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