遅ればせながら
今年の誕生日は少し物足りなかった。


いや、クリスマス会と共に幹部をはじめとするクルー達がこっそり用意したサプライズパーティーは毎年心を暖めてくれる。それは今年も同じだった。


しかし、今年は足りなかったんだ。会場となった食堂のどこを探しても1人見当たらない。たかだか1人、されど1人。なんといっても、その相手は自分の恋人だから。


「あの、艦長。ナマエ知りませんか?」


しびれを切らした俺は近くにいた艦長に彼女の所在を訊ねた。


「あれナマエちゃん言ってなかったの?」


驚愕の表情を浮かべた艦長が寄越したのはこれまた驚きの回答。


「昨日から日本にヘッドハンティングしにいってるよ。」


え、マズいこと言った?という表情の艦長。いえ艦長、貴方はなにも悪くありません。悪いのはアレです。とは言えず、終始慰められる会だった。


『28日か。手こずってんのか?』


今更誕生日なんてと思っていたが、祝って欲しい人が居ないだけでこんなにも凹むものなのか。なんて発見をしつつ、帰ってこないナマエを心配する気持ちだけが募っていく。


『何で教えなかったのかとか問いただすのは後にしてやるから、取りあえず、帰ってこい。』


心配と不安。不安の方が比重は大きいのだが、その2つに押しつぶされそうだ。早く、早く、俺の側に…


「あ、アドルフさん!ただいま戻りました!!えと、艦長に聞きまして、会に参加出来ずぅ!!!?」


「遅い。」


「ご、ごめんなさい。」


「もう外の仕事はないよな?」


「ないですよ!?年末年始はずっーとアドルフさんと一緒です!!!!」


腕の中で笑うナマエ。安心して年を越せそうだ。


遅ればせながら



(お誕生日おめでとうございます!)

(何だこれは?)

(プレゼントです!)

(電気ウナギの縫いぐるみ…)




あとがき
アドルフさんお誕生日おめでとうございますぅぅうううう!!!!!


遅れて申し訳ないです( ・_・;)




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