あの日の君は
あいつが泣いてやがる。
『なんで、なんで、母さんは帰ってこれなかったのよ!』
あぁ、俺たちが初めて会った時の・・・
今よりまだ幼さの残るナマエが、俺を問い詰める。
そりゃ、そうだよな。
あいつの母親もバグズ2号のクルーだった。
よく艦長と親バカぶりを披露してたぜ。
『バグズ2号のお母さんって呼ばれてた。俺達の世話までしてくれて、お袋が居たらこんな感じなのかって思わせてくれる人だったよ。』
『・・・母さんを殺した奴は、火星に居るのよね?』
『あぁ・・・』
『行くわ。』
私に火星へ行く方法を教えて下さい―
「ん、強い目、だったんだよな」
そう、俺をまっすぐに見つめる目には、強い意志があった。それが復讐だとしても、その目に俺は―
「み、ミッシェルたん、それ以上はぁああああ・・・」
寝起きに響く悲鳴。
その声は、あの日の君と同じもの。
「朝っぱらから、盛るんじゃねーよ変態!!」
あの日の君は何処へ
(愛故です!)
(返却。)
(ミッシェルちゃん!?)
(・・・俺の目がおかしかったのか。)