命という名の華
エヴァは守れただろうか。
ゴキブリどもの投石を受け、瀕死の俺。意識の端でエヴァが何か怒鳴っているのが聞こえたのが最期、俺の意識はなくなった。
だから今のこの状況をどう表していいのか、上手くは言えないが、天国だとか地獄だとかそういった類ではなさそうだ。一面が真っ白な空間。そこに前後左右も分からないいまま、俺が存在している。
「死後の世界は殺風景だな、」
まぁ、もともと色など失った世界だったんだが、それとは次元が違う。
「アドルフさん、」
懐かしい女性の声が聞こえた。そうだ、俺の世界は色を取り戻しかけていたんだ。
「アドルフさん、」
クルーではないが、本部のスタッフとして俺達のサポートをしてくれていたナマエ。俺は彼女の暖かさ、厳しさに触れて…
「ねぇ、アドルフさん?」
「なんだ、ナマエ。」
囁いてみても、見渡しても白だけが続く世界。ナマエの声は俺が作りだした幻聴なのだろうか?だったら、
「だったら、姿も見せてくれよ。」
お前が居ないとまた失ってしまう。死んでいようと、あんな寂しさごめんだ。
(君という存在が僕の世界であり)
(中心で輝く華だったんだ)