追憶の中で
男主です。











「ちゃんと聞いてんのかナマエ?」


「勿論だよ。」


少し怒り気味のミッシェルが僕の顔を覗き込んできた。幼少期から変わらず、彼女より高い身長。しかし見上げる顔つきは何時しか少女から女性へと変わっていて、兄妹の様に寄り添った時間の長さを感じる。


「ミッシェルさん!」


快活な声が館内に響いた。全く膝丸君はいつも元気だ。


「何だ燈?今話してんだ。」


困り顔ながら急用かと尋ねるあたり、副長としてオフィサーとしてきちんと責務を果たしてるようだね。


「僕はいいから行っておいで、ミッシェル。」


「…すまない、後で必ず尋ねる。」


すまなさそうに謝罪してくる燈君の元へ向かうミッシェル。本当に立派になったと思う。


ドナテロさんが死んだと知らされ、毎日のように泣いていたミッシェル。彼女が事故に遭ってから増えた悩み。直ぐには打ち明けてくれなかったが、僕にだけはぶつけてくれた本音に幼馴染以上の感情を覚えたんだ。


そしてついにやって来たU-NASA。小町さんはじめたくさんの人に出会い変わったミッシェル。何より、同じ境遇の燈君との出会い。


「ナマエ!!!!!!」


何を思い出してるんだ僕は。あぁ、遠くでミッシェルの声がする。そんな悲しそうに叫ばなくていいよ。なぁ、ミッシェル、


「もうっ、僕は、いらな だろっ?」




記憶の中で、君はいつも泣いていた。だけど、その涙を拭う役目は、もう僕じゃない。
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