斜め上をいってなんぼでしょ?
「ムっちゃん、ムっちゃん!!」
「おー。」
そんなにはしゃいじまってどうしたのかね?なんて呆れ果てる私の視線の先に居るのは、我らが幼馴染のなまえちゃん。弟、日々人がL7に入って両親と共にヒューストンに呼んだ人物である。彼女は今庭先のデッキチェアに座って満天の星空を眺めているようだ。私の予想では、きっと都会では見られない輝きに感極まっているんだと思う。
「星がすっごい綺麗に見えるよ!!星の王子様もびっくりだよ!?」
「そ、そーかなぁ?」
たとえがよく分からないが、予想はドンぴしゃ。流石日々人と同じで頭の螺子が緩いだけある。まぁ、そんな所に庇護欲を煽られているのが私達兄弟なのだが…
「む゛ぅーん。」
「ふぉう!?」
遠い目で夜空を見上げていた所、デッキチェアが唸り声を上げた。いや、正確にはデッキチェアに座っていたなまえちゃんがあげた唸り声なんだけどね。だがしかし、私は長いこと彼女と一緒に過ごしてきたが、さっきの声は初めて耳にした。なんて考えながら様子を窺うと、渋い顔をしながら夜空に手を伸ばしている姿があった。伸ばした掌がわきわき動いている理由は分からない。
「えーと、なまえさん?」
「ふぐぅー。」
「何してらっしゃるのかな?」
「南波六太宇宙飛行士!!」
「ひゃいっ!!」
突然声を張り上げた彼女に驚いてしまう。ちょっと待とう、なまえちゃん。私の質問はスルーなのかい?そんなこんなでブロークンハートしかけてる私に彼女が言った一言は、やっぱり螺子が緩んでいるもので私の頭を悩ませた。
斜め上をいってなんぼでしょ?
(星と交信できません!!)
(は?)
(あ、日々人が行ったらできるや!)