最初で最期
『今日も雨ですな。』

『梅雨ですもん。一期さんは雨の日は嫌い?』

『嫌いではないですが、こう毎日続きますと・・・』

『ふふっ、弟君たちが遊べないものね。』


クスクスと笑う彼女は我らが本丸の主だった。何処か掴みどころのない女性。それ以外に自分たちが知りえる彼女の情報はない。


『あるじさまのおかおをみてみたいです!』

『ごめんなさいね、政府との取り決めなの。』

『えー、よそのあるじはめんなんてつけてませんでしたよ〜!!』


演練であう他所の主は面などしていなかった。中には真名を呼ばれている者もいて正直驚いた。我が主は政府との規定として常に面を付け、顔を晒すことすらしない。真名などもってのほかだ。


『主の事は信頼しているよ。けど、そうだな、一線引かれている気はする。』

『それなのに、信頼していると言えるのですか?』

『君は此処にきて間もないからな。次第に分かるよ。』


弟達と共に笑い、遊び、此処の刀と語らい心地良い空間を常に心がける主に、己の第一印象を酷く恥したのは懐かしい記憶。


『あぁ、また堕ちた本丸が挙がってるわ。』

『最近富に多いな。』

『そうね。道を踏み外す者が多くなったのか、それとも適性のないものまで投入し出したか。どちらかでしょう。』

『しかし、其れは此方には被害を与えん。気にかかるのは刀を折りに来る輩の方よ。』

『んー、刀狩りのことかしら?』

『おぉ、それだ。全く、様々な所に現れ刀を狩っていくと聞いておる。』

『折れた刀だけ残されるなんて・・・』

『そのような暗い顔をするな。なに、主を悲しませぬよう我らも精進しようではないか。』


全ての男子で、あんな暗い顔をさせないために、彼女を悲しませないために強くなろうと誓った。演練に励み、内番以外でも手合わせをする者が増えていった。彼女を中心に、世界は周り、幸福と強い使命感で満たされる日々だった。


『あるじー!手紙が来てるよ!』

『ありがとう。あら政府からだわ、こんな時間に何かしらね。』

ある日来た政府からの手紙。それに目を通した主は、『あら。』それだけ言って自室へと戻っていってしまった。そして、彼女は姿を消した。


彼女の自室、その他も本丸のあらゆる場所を探したが彼女は見つからなかった。弟たちは泣き、大太刀ですら理解できず呆然と起ちつくす。その異様な空気の中、政府のキツネが新たな主が来ますと言う。そんなものいらぬと皆が声を上げる中やって来た次の主。最初こそ我らと仲良くしようと努力をしていた。しかし我らにその気が全くないことを悟るや、自暴自棄になり自ら命を絶った。その次も来た。其れは我らを凌辱する最低な輩だったため、殺してしまった。その次も、その次も。


「堕ちたリストに載ってるらいしいよ。この本丸。」

「そうですか。ではそろそろ力ずくでも一掃されるのでしょうな。」

「だろうね。だが、そんなに簡単にはいかないよ。彼女に誓ったんだ。」


その夜、本丸に火矢が射られた。燃える木造の建物。本丸を囲む大勢の気に、遂にこの時がやって来たのだと全員で理解した。


「なんだ、入って来たのはお前だけか?こりゃ驚きだ。」

「随分見くびられているようですね。」


目の前に現れた死装束を着た役人。手には刀を手にしている様だが、黒刀なのか長さなどがはっきり分からない。


「もしや噂の刀狩りか?」


にじり寄る、死装束。


「ならば、折られてやるわけにはいかぬ。」


そう、折られるわけにはいかない。彼女に誓ったのだから。だが、刀狩りと言われるだけありその太刀筋は鋭く、重い一撃。


『幾振りか折れてしまった。』

「あぁ、彼女に顔向けができないじゃないか!」


4人の大太刀が揃って刀を振るった。流石に避けることができなかったのか、死装束は地に伏した。


「さて、首を刎ねる前に、顔を拝んでやりましょうか。」

「おぉ、其れは良い。来る日に彼女に自慢できるぞ。」


はぎ取った布の下から現れた血の気の引いた女の顔。こんな女が、皆口々にそう言い、私が刀を振り下ろした時だった。


―さようなら―


誰一人として止めることなど出来なかった。



初めて見る主の顔は穏やかな笑みを讃えていた。











あとがき
なんだか不思議な内容でした。はい。

私の脳内構造に
刀→刀狩りにあう
みたいな→がありましてこんなことにありました。


ブラック本丸要素を取り入れてみたのですが良くある設定なので何番煎じか分からんのですが思いつくままに連ねてます!!!


もう本当に駄作でごめんなさいぃいいいいいいいい!!!
お目汚し失礼いたしました!????



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