その笑顔は
「昨日はごめんね?任せた私が言うのも何だけど、なまえちゃん帰れた?」
「はい。それに、良くあることですから、気にしないでください染谷さん。。」
良かったと笑ってくれる染谷さん。ごめんなさい、嘘なんです。
結局昨日は帰れなくて、若先生と一緒に泊まってしまった。2人の時は大抵そうなる。先生は人肌を求めて、そして私はそれを拒まない。不毛な関係。腰に残る鈍い痛みは、私の心を重くさせる。最近はより一層・・・
「おはようございます!!」
「さちさんは今日も元気ですね。」
今日も元気印の彼女がやって来る。さちさんは、掃除や診察準備をしていた私や染谷さんに太陽みたいに暖かい笑顔を向けて挨拶をした後、若先生の執務室に向かった。
「ねぇ、なまえちゃん。やっぱりさちちゃんよね。」
染谷さんの心配そうな瞳が、さちさんの後姿を見つめている。彼女の言わんとしてることは、分かってしまう。
「どうなんでしょうか・・・。」
「真剣な話よ。さちちゃんが来るようになって、周期が短くなってるじゃない。」
― 実際、前回から2週間も経ってないのよ?
確かに染谷さんの言う通り。さちさんが通うようになって、若先生があの状態になることが増えた。だけど、
「染谷さん、きっと大丈夫ですよ。」
「若先生とさちちゃんの事?」
「えぇ。私思うんです。さちさんは若先生を救ってくれる、だって・・・」
執務室から出てきたさちさんと若先生は、酷く楽しそうで。昨日の、あの哀し瞳は面影すらない。
「だって、あんなに楽しそうに笑ってらっしゃるんですから。」
その笑顔は、あの子のおかげ