後は溺れるだけ
なかなか寝付けない夜がある。


その日あった事、過去の事、未来への不安。全てがグルグルと頭の中で廻っていく。思考を止める術を知らない私は、唯ひたすらその感覚に恐怖するのみ。


「なまえ、また寝れないのかい?」


ごそりと音がし、既に夢の中だった太宰さんに声をかけられた。


「御免なさい、起こしてしまいました?」


「なに、まどろんでいただけさ。気にするほどじゃない。」


そうは仰っているが、欠伸を噛み殺し切れていない姿がそこにはある。何とお優しい方なのだろうか。そして、こんな彼に気を使わせてしまうなんて、自分はなんと迷惑な存在なのか…


「おや、一段と暗い顔になってしまった。」


とん、と太宰さんの人差し指が私の額を小突いた。優しさの溢れる両の眼が此方を見ている。瞳に映るのは、


「酷い顔、」


「そうだね。」


ぐるぐる廻る思考。何処まで私は醜いのだろう。太宰さんも、きっと呆れてしまうのだ。


「ねぇ、なまえ。」


「んっ?」


「お前を苦しめるモノは、私が喰ってしまおうか。」


返事をする間もなく引き寄せられ、重なる唇。熱烈な接吻で、漸く思考が鎮まった。





後は溺れるだけ。






あとがき
太宰さんはこんな人ではない筈だorz


お目汚し失礼しましたぁぁぁああああ!!!


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