At midnight
壁一枚。たったそれだけが酷くもどかしい。



ランプの明かりだけが淡く広がっている深夜のベットルーム。閉じられたドアの下からは明るい光が入り込んでいる。


「ギーナ。」


ドアの向こうにいるだろう人物を呼んでみた。気付かないだろうけどね。だって、あれは日を跨いだというのに、書類があるだとか何だとかで机に向かっているから。


『そんなの明日に回して、一緒に寝よう?』


これぐらい素直になれば、今頃私の隣にはギーナが寝ていただろうか?いや、やっぱり考えるのは止そう。たらればの話なんて、素直になれない私にとっては夢のまた夢なのだから。


「おーいナナバ。起きてるか?」


明りの眩しさに目が眩んだと思ったら、自分の頭の中を占めている奴がするりと部屋に侵入してきた。返事をすれば、何とも言えない表情をして寝てろよ、と一言。起きてるかって確認したのはギーナじゃないか。


「まだ、かかるのかい?」


「もうちっとだな。エルヴィンの野郎、今度の検診覚えてろよ…」


「自業自得、だろう。団長に恨み事を言うのは良くない。」


痛い所を突かれたのか苦い顔をしたギーナ。ぶつぶつ小言を言っているみたいだけれど、此処からじゃ聞こえない。ふふふっ、さっきまで悶々としていたのに、笑えて来てしまったじゃないか。


「クソッ、何の試練だよ。残りの書類、瞬殺してっくっから。もう少し起きとけ。」


「う、うん?」


状況を飲み込めていない私を放置し、ギーナは慌ただしく部屋を出て行った。試練?瞬殺??何だったんだろうか。


『何にせよ、早く来てくれるってことだよね…』


にやける頬を隠すためにシーツを抱きしめた。





At midnight


(『ナナバの奴、なんて顔してんだ!?』)


(『んな顔してたら離れらんねぇだろーが…』)





あとがき
書きかけでストップしてたやつを書き直してみました。うちのサイトで一番(多分)らぶらぶだよなぁ…


こんなんでしたが、此処まで読んで下さってありがとうございました!!!!
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