見えない出口
廊下を歩いていたら、窓の外にギーナの姿を見つけた。新人に囲まれている所を見るに、雑談中なのだろう。
『相変わらずの人気者だね。』
あ、ギーナに何か言われて、エレンの顔が真っ赤になった。面白いなぁ。
「っ!?」
ふとギーナと目があって、優しく微笑みかけられた。その瞬間、身体を走る甘い刺激。喉の奥が熱くなって、指先が甘くしびれている。こんな時に思い知ってしまう。言葉にできないくらい、私の全てがあの男の物だと言うこと。
「おい、ナナバ!丁度よかった、こっち来い!!」
乱暴に呼ばれたのに、身体は勝手に動く。
「どうかしたのかい?」
「イェーガーが俺達の馴れ初めを聴きたいんだと。」
「な、絶対に話さないでくれよ!?」
あんな黒歴史、話されてたまるもんか。急いでにやりと歪んだ口元を手で押さえると、エレンたちから非難の声が上がった。何と言い逃れしようか迷っている間に手はどけられてギーナが口を開いた。
「わりぃな、嫁がこう言ってるから話せねぇよ。」
これまた綺麗に弧を描いた口元が憎たらしい。
『けど、そんなとこも…』
天邪鬼な私。素直になれないことは、いつものことだ。だが、終わりの決まった日々だから、できる限りの時間を共にしていきたい。その気持ちがあるから、さっきだって自然と身体が此処に向かったんだ。
「どーした?」
「え?」
「もうイェーガー達はいねぇぞ。」
「あ…」
ギーナに私の気持ちを知ってもらうには、どうしたらいい?
何を話す?
何を伝える?
「ナナバ?」
ぐちゃぐちゃになった頭では思考は結びつかない。その代わりに、言葉にできない想いが頭の中をめぐる。それが予想以上に苦しくって、心配そうに顔を覗き込んでいたギーナの胸に飛び込んだ。
見えない出口
(うぉ!?さっきのそんなに嫌だったのか?)
(ばかギーナ…)
あとがき
煮詰まった結果こうなりやした。
駄作でしたが、此処まで読んで下さってありがとうございました!!!
inspired by 何処へでも行く