小説 | ナノ


※Love begets madness


愛してる、愛してる、愛してるんだ、愛して、愛して、愛して愛して。護りたい、僕がこの手で。君が傷つかない為にも。愛してるから、愛してる愛してる、


だから


「うっ…ぐ…ぁ」

ぎりぎりと、首の骨が軋みを上げる。気管が詰まり、生理的な涙が浮かぶ。

「え…ぬ…っ、ど…し、て」

自身の首を締め上げる腕は、細いようできちんと筋肉が付いてる男の人の腕。それは、紛れも無く――愛しい人の腕。

「アリア。僕は、君を護りたいんだ。僕の手で、君が傷つかないように」


この世界には、悪ばかり居る。ポケモンを傷つけ、道具としか見ていない人ばかり。このままじゃ駄目なんだよ。世界がこのまま進んでしまったら、いずれ君まで傷つけられてしまう。僕のトモダチを傷つけるだけでも許せないのに、僕の大切なキミまで傷つけようとする。僕には堪えられない。キミが傷ついて、悲しんで、もしも泣いてしまったりしたら…。アリア、キミはこの世界にいちゃ駄目だ。こんな世界、キミには似合わないし傷つくだけ。だから僕が君を殺してあげる。君を殺して、この世界から護ってあげる。大丈夫だよ。ちゃんと身体が腐らないように、ホルマリン漬けにするから。ずっと、ずっと、キミを愛してる。死んでも愛してるから、だから安心して殺されて。


「ぅ…ぁ…や…ぃ…や」

いや、いやだよN。私、死にたくないよ。

「“いや”?どうして?大丈夫。今は苦しいけど、直ぐに楽になる。そうすれば、傷つかないでいい」

「ち…が…」

違う、違うよ。傷つくとか、そんなのどうでもいいの。私は…Nと、

「え…ぬ…え…ぬっ」

Nが居てくれれば、それでいいのに。いやだよ、N、N。

「愛してるよ、アリア」

零れ掛けた涙が、細い指に掬われた。




愛が故に、手に掛ける

(愛してるよ。死んでも、君をずっと)

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