小説 | ナノ


持てる力を振るいて

戦が、始まる。

「長政様、戦が始まります」

「…ああ」

この方のために唯一、といって過言ではない、私が己が力を振るえる時。

「此度の戦は、今までとは比べ物に成らぬものとなるようです」

「そうか」

「長政様、私は如何に「どうした?その様に落ち着きなくして」!わ、私は…」

「それ程までに、此度の戦が一興か?」

「そ、そのようなこと…決してありませぬ!」

「ならば、何故に戦を気にかける?」

「そ…れは」

私は長政様の忍。しかし、普段は他の側近が控えているため、私は長政様のお役に立てることができない。

「戦の起こゆる時は、私が長政様のお役に立てる唯一の時にございます。故に私は……愚かしくも、戦を…戦の時を、待ちかねておりました」

我ながら、なんとも愚かなことか。戦が起きたところで、私がこの方の役に立っていると確証もないのに。

「……申し訳ありません、長政様」

「詫びる必要はない」

「!え…」

「お主は、某のために身を削ると言うのだろう?」

「は、はい」

「某をこれ程にまで慕ってくれているものを、何故に邪険に扱えるか。某こそ、礼を言わねばならぬ」

「長政様…」

「先程申したな、此度の戦は比べ物にならぬと」

「はい…」

「お主はそれを承知の上で、某のために動くと申すのか?」

「はい」

「左様か…。良いだろう、ならば某のために生きろ。此度の戦も、その先も戦も」

「長政様が御望みになりますのであれば。私は、どこまでも貴方様のために息をしましょう」


更なる高みを捧ぐ
(貴方様の御心のままに、己が力を振るう)



『無双OROCHI2』のPSP化により、テンション上げ上げで書かれたものその2。
はたして、長政様ってこんなキャラだっただろうか。というか口調ってこんなんだったっけ…?
一人称は、ゲーム発売によって、長政様は『それがし』と言っていたので、変更しました。

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