小説 | ナノ


それはね、恋だよ


気になる女子生徒がいる。


「青葉君。この問題はね、同じ種類の素数を合わせた式で計算すればいいんだよ」

「な、なるほど…」


彼女は僕のようなお馬鹿様とは違い、並中一の秀才と呼ばれるほど頭がよく、教師達からの信用も厚いらしい。だからなのか、補習中に助っ人として良く呼ばれている。


「だぁぁぁぁ!分からん!!極限に分からんぞぉぉ!!」

「笹川君!?も、もう少し頑張ろう?ほら、この問題は此処がヒントになってて」

「ふむ…そうか!分かったぞ碓水!!」

「良かった。じゃぁ、次はこの問題」


彼女は自身が秀才だからと言って威張る様な事はせず、寧ろ、分からない問題などがある時は相手が誰であろうと問題が解けるまで丁寧分かりやすく教えてくれる。嫌な顔一つせず、何度も何度も、それが彼女の優しさだ。


「碓水、この問題なのだが…」

「これは応用だよ。幾つかの公式がこの式の中にあって「碓水!極限にこの問題は何だ!?」

「黙れ笹川了平!!結局今彼女は僕の問題を見ているんだ!!君は結局その低能な脳で考えていろ!!」

「なんだと青葉紅葉!!」

「結局、この僕と勝負すると言うのか!?」

「ふ、二人共落ち着いて!皆の迷惑になっちゃうから、ね?青葉君、続きをしよう。笹川君、少しだけ待ってて」


彼女は優しい。いや、優し過ぎる。あんなドアホォな笹川了平に彼女の時間を使う事など無い。結局彼は邪魔だ。彼女と僕の時間の邪魔をする。結局彼女とアレが話している時は腸が煮え繰り返りそうだ。


「あ、チャイム。じゃぁ青葉君、笹川君、また明日」

「いつも済まんな碓水。極限に感謝だ!!」

「気にしないで笹川君」


補習が終わると、いつも寂しいと思ってしまう。僕と彼女は同じクラスではないので、彼女と顔を合わせるのは補習の時だけだ。どうすれば彼女と補習以外でもずっと一緒にいられるのだろうか。後でアーデルハイトに訊いてみようと思う。


「碓水」

「なに?」

「ま、また明日も…勉強を教えて貰えるだろうか?」

「勿論!一緒に頑張ろう!」


彼女が教えてくれるのなら、嫌いな勉強も好きになれる。彼女といる時間は全部好きになれる。だから、もっと彼女と沢山の時間を過ごしたい。


「また明日ね、青葉君」

「また、明日」


また明日、この学校に来るのが楽しみだ。


明日もまた、君と会いたい
(というわけだアーデルハイト。結局何かいい案はないか?)
(その前に補習を受けない頭になりなさい)
(それでは結局碓水に会えんだろう!!)
(その子を恋人にすればいつでも会えるぜ、紅葉)
(……その手があったか!!)

甘い恋10題(3)


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