咲いたイカリソウ 

※ぬるーいR18




欲しいものは手に入れる主義だ。
智を巡らせ、策略を練り、捕まえたら離さない。

そんな元就には現在、喉から手が出るほどに欲しいものがある。
闇を纏い、薄く輝き、黒く白い月のようなもの。

何度も想い、焦がれ、欲しいと願った。

そしてやっと、元就に姿を見せたソレ。

「や、めろ」
力づくで手に入れた宝は、小さく喘ぐ。
元就は無表情のまま宝を撫で、愛でた。
ゴツリと細い体に唇を落とし、白い肌に吸い付く。朱が散りばめられた宝は身動ぎ、元就の肩を力なく押した。
「貴様、それで反抗のつもりか」
くつりと笑う。
そうすると、宝――石田三成は己の手で己の顔を覆い隠した。見られたくないと唇を噛みながら、早く終われと心に願う。
「ぅ、あ」
ズンッと突き上げられて、我慢していた声が溢れた。
先程飲まされた得体の知れない薬のせいで身体が言うことを聞かないし、あろうことか与えられる刺激に快楽を覚える。
どうしたのかもどうしていいかも分からない三成を、元就は愛しげに見つめた。無表情の中に見え隠れする欲情が膨張する。
いつの間にかがっちりと絡まった指が、手が、熱い。
水音と欲情の交わる下半身も同じく。
「もう、やめ、ろ」
「何故だ。貴様、好きなのだろう」
「ん、ぁ。なに、が」
「この行為がだ」
首を振って否定するも、突き上げられる度漏れる声は甘美である。
自分は男のはずなのに男に抱かれて快感を覚える身体が憎らしい。そう思いながらも三成は、無意識に元就を求めた。
(欲しい、欲しい、欲しい)
思っているのはどっちだろう。
「ま、て。も、ぁっ、ン」
「まだだ、まだ」
絡めた指を離さずに、混じりあう体。
ぎゅうぎゅうと締め付け、快楽を求める三成と、そんな彼に口づける元就。
ごぽりと欲望を吐き出し、小さく笑った後、元就は三成の肩に顔を埋めた。
「貴様はもう、我のものぞ」
それを聞き、嘲笑うかのように口角をあげて、挑発するかのように元就を見つめる三成はひどく綺麗で美しい。
「…智将と呼ばれた貴様だが…。まるでイカリソウのような男だな」
――イカリソウ。
言われて脳に浮かぶは紫色の花である。
「…雑草など、我の趣味ではないが……だが錨草、くく、錨草、か」
元就は笑う。













花言葉は、あなたを捕まえる
そして、離さない


 



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