*番外ではあるけど、連載ではイマイチ活かしきれていない廃人設定を前面に出してみるお話。
意味のわからない人は「これがなんちゃって廃人なのかー、」と軽く読み飛ばしてください。







「マツバさん、マツバさん。」

「どうかしたかい?」

「実は私、ずっと気になっていたことがあるんですよ。」



私がそう言うと、彼はゲンガーを撫でる手を止めこちらを向いてきた。

その動作の美しいこと、美しいこと。
まったくイケメンは目の保養になりますな!!

マツバさんの目がなんとなく話の続きを促しているようだったので、私はこの話題の核心部分を切り出す。



「あそこの木になっているモノって、“きのみ”だったりします?」



あそこといって、この生活させてもらっている家と本家(あの純和風でマツバさん一族が生活しているであろう豪邸)の間にある小さな雑木林を指差す。

実はずっと前からかーなーり、気になっていたのだ。
ロトムの育成の上でも(私が探しているモノがあれば)できれば使いたいし。



「うん。そうだよ。」



マツバさんはさらっ、と答えてくれた。



「どんなきのみがあるんですか?」

「確か大体の種類はあったと思うけど……。」



顎に手を持っていって考えるポーズをする金髪紫マフラーのジムリーダー。

なんだか古臭いポーズのような気がするが、彼がするとそんなことは感じない。
すごいね!イケメンマジック!!



「あっ、でも極端に珍しいものやシンオウのポフィンだっけ?あれの材料のきのみはない、かな?」



ほう、ほう。きっとあのきのみはそこまでレアなものじゃなかったと思うし、もちろんポフィンの材料でもないから、もしかしたらあるかもしれない。
淡い期待に胸が膨らむ。

そして次がラストクエスチョンだ。



「…その、あそこにあるきのみは私が少し拝借しても、」

「木を切り倒したり、根こそぎ奪っていくようなことじゃなければ平気だと思うな。」



にっこり、と笑って彼は答えてくれた。
言葉とかその微笑が若干黒っぽい気がしないでもないが、たぶん気のせい。きっと気のせいさ。







* * *







「きのみって近くにくるといい匂いがするものなのね…。」



マツバさんからの許可?を得て、やって来ましたきのみのパラダイスに!!
もちろん相棒も一緒です。(勝手にその辺のきのみを食べないように腕の中に閉じ込めてはいるけど)

色々な匂いを堪能しながらひょい、ひょい、と木を避けて歩きお目当てのものを探す。

赤色のクラボのようなきのみでもなく、青色のオレンのようなきのみでもなく、ちょっと欲しいけど緑色のラムのようなきのみでもなくて、
私が探しているのは、



「あった、かも……!!」



大きな花の咲いている木に近づいてきのみを観察する。
それは青くてコンブのような形をしていて。恐る恐る触ってみると固さを感じた。
おそらくコレがネコブのみだろう。

見つけてやったぜ!!!

勇気を出して1つもいでみた。

……やはり固い。
そしてさっきから思っていたことだが、予想以上にでかいぞ、これ。



「ほーら、ロトム。おやつの時間だぞー。」



腕の中にいたロトムにネコブのみを与える。
しかし食べにくそうにしていたので、ちょうどあった平たい石に腰掛けて私の膝の上で食べさせることにした。

もりもりと食べていくロトム。
嫌いな味ではなかったようだ。


ネコブのみを食べさせた理由は至極簡単。
この子をより強く育てるためである。
基本的に狙った子しか倒さないようにしているが、私の知らない所で何かしらのポケモンを倒しているのという事態が起こっても大丈夫なように保険としてである。
攻撃はもともとないし、伸ばしても意味ないし、確か攻撃技もあんまり覚えかったはず……。
ついでにちょっと懐くしちょうどいいかなー、なんて…。

ロトムは知っての通り、でんき・ゴーストタイプという耐性が多い恵まれたタイプのため、物理受けとして育成されるのがほとんどだったような気がするんだよねー…。
それかトリックを使ってのいわゆるスカトリ型とかかなぁ?

ただ、それはあくまで“ゲームの”ポケモン世界での話。
ハヤトと対戦して基本的な攻撃方法はゲームと変わらない、と感じた。
しかし、あの時は『すなかけ』だったが、それの効果が少し強い、と思ったのだ。(ゲームなら命中率を少し下げるだけだし)
そこから結論付けるに、“ここ”は少しアニメの世界に近いのかもしれない。

とか、ちょっと真面目に考えてみる。

結局の所、いくら考えても答えが出るわけでもないし、推測の域なんだけどね。



「ロトム、おいしい?」

「ロトー!!」



嬉しそうに答えるロトムを見ると、私も頬が緩む。

随分と短期間で自分も親ばかになったものだが、(多少フィルターがかかってるにせよ)可愛いものは可愛いんだ!!

未だにネコブのみを食べているロトムを見ながら、強く育ててあげるからね!!と決意を改めた日のこと。










突っ走れ、なんちゃって廃人ロード!!
(とりあえずもう少しきのみを与えておきますか)





∵ここでのロトムは受けポケ仕様ではなく、特殊アタッカーになる予定というただの育成のお話
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -