「あら!随分と可愛い子を貰ってきたじゃない!」

「やっぱりアテナ様もそう思います!?この子がアポロさんの手持ちとか、ちょっと考えにくいですもん!!」

「それはあたくしも同意見よ。」



現在、アテナ班の一員となっている私は廊下掃除が終わった、と報告しに来たところアテナ様からお茶のお誘いがあり、彼女の部屋で優雅なティータイムに洒落こんでいるというわけだ。

正直、舌の肥えていない私はこの紅茶もフツーの味にしか感じない。
だけど、おそらく高級なものなんだろうなー……。



「どう?ここでの生活も慣れてきた?」

「はい!もう至れり尽くせりで悪いくらいです!!」

「そう、よかったわ。あたくし達もあなたみたいな研究者が足りなかった所だしね。」



上品に紅茶を飲むアテナ様はすごい絵になる。

私が現れる数ヶ月前に逃げようとして始末された研究員がいた。
彼はブリーダーから転職したとかて、ポケモンの育成についての知識はピカ一だったらしい。
そんな彼の後釜がすぐに見つかるわけもなく、長い間空いていたそのポストに知識を買われた私がちょうどよく入ったという物語だ。
この世界で種族値や努力値とかを知ってるのは私だけだと思うしねー。


そしてここから先は推測だが、ロケット団に価値ある人間として私は見出だされた。
しかし、知識以外はまったくはっきりしないあやふやであって。(トリップのことは誰にも話していない。ハッタリと言う名の嘘で誤魔化している)
そんな私を彼ら幹部達は気にかけるけとによって、逃げ出したらすぐに始末できるようにしてるのではないか……

なんて、深読みしすぎかな。


膝の上のピンプクがクッキーを欲しがっていたみたいなので、一枚あげてみた。
しかし彼女(確か全て♀だったはず)は気に入らなかったようだ。



「そっちをあげてみたらどうかしら?」



アテナ様の指す方を見ると、ポケモンフーズを觜に持ったヤミカラスがいた。
こちらにやってきたヤミカラスとアテナ様にお礼を言ってピンプクにあげてみた。

ふむ、今度は喜んだようだ。

頭と思わしき部分をわさわさと撫でてやる。



「そうそう!まだ渡していなかったわよね。」

「え?何をですか?」

「ちょっと待って。えーっと、確かここに……、」



席を立って何かを探すアテナ様。
私に渡すものって、一体何なのだろう?



「あったわ!はい。」

「え、あ、ありがとうございます。」



とりあえず反射的にお礼を言ってしまった。
渡された手のひらの中のピンポン玉大の赤と白のボールが、さっきの光景とたぶる。

……何このデシャヴ。



「レベルを上げるのに、少し遠出するときなんかもあるでしょ?その帰りとかに役立つと思うわ。」

「えっとこれは……?」

「ケーシィよ。」



マジデスカー。
初代のチートと歌われた、その原型がココに!!



「アジトのどこかしらにテレポートする仕組みになっているから安心して出掛けられる、ということよ。」



なるほど、なるほど。それは便利なシステムだ。
確かにポケモンを育てるには経験値が必要不可欠だもんね。



「これは皆持っているんですか?」

「いいえ、研究員の中のごく一部だけよ。」

「えっ!?それを私に!?というか、私なんかが持ってていいんですか!?」

「ふふふ、いいに決まってるじゃない。」



そういって笑うアテナ様はすごく綺麗で、私は見惚れて口を挟み忘れてた。



「育成頑張ってね。」

「っ、了解です!!」



(さてさて、強く育てるには色々とこの子たちのことを知らないと、ね。)

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