「お前にこの子をあげましょう。」
そう言ってアポロさんからピンポン玉くらいの縮んでいるモンスターボールを渡された。
水色の髪が彼の雰囲気に合っていて、相変わらず今日も美人ですこと。
「あの、えっと、これは……?」
「この前に手に入れたのですが、私よりお前に似合うと思うのですよ。」
じっ、とモンスターボールを見つめてみるが、何が入っているのかわからない。
確かに昨日、手持ちが欲しいなー、と小さく零したが仕事が早くないですか?
あ、これがロケット団クオリティなのか。なるほど。
何でこうなってしまったかわからないが、私は今、ポケットモンスターの世界でロケット団のしたっぱ(仮)になっている。
いやー、私もびびった、びびった。
朝起きたらよくわかんない倉庫?にいてさ、アテナ様のヤミカラスに見つけてもってなかったらどうなっていたことか……
まぁ、その倉庫にロケット団の重要な書類が間違えて紛れ込んでたおかげと(もちろんバッチシ読破してしまった)、もともと入団希望もあったしで、私はこうして生き長らえているんだけどさ。
ちなみにしたっぱ(仮)なのは、私がポケモンについて色々と知識があると判明したため、研究員(仮)となる時もあるからである。
「育てれば強くなると思いますが……。あぁ、開けて結構です。」
このボールを開けても良いのか、と悩んでいる私を見てかアポロさんのお許しがあった。
「ではお言葉に甘えて…、」
かなり中身が気になっているのでさっそくモンスターボールの真ん中のボタンを押して大きくし、中は普通にスバットとかその辺かな?と思いながらそれを軽く宙にほおる。
自分の一番最初の手持ちになる子は強いに越したことはないが、ポケモンが大好きな私は貰えればなんだってうれしいのだ。
ボールが開き赤い光線が形作られ、でてきたポケモンは……
「かっ、…可愛い、」
ロケット団でメジャーなドガースでもなく、コラッタでもなく、アーボでもなく、
「なぜにピンプク……」
そう、最終的にはピンクの悪魔として名高いハピナスになるピンプク様でした。
予想の斜め上すぎる。
確かにこの子がアポロさんの手持ちになるとか、ぷっ、ちょっと考えづらいわ、ぷぷっ、私は可愛くて強いから有りだと思うけど(笑)
「この子は今日からお前のポケモンです。いいですね。」
「はいっ!望むところです!」
「用はそれだけです。では仕事に戻りなさい。」
「うー、ラジャー!!」
無邪気にアポロさんの足に戯れついているピンプクを抱き上げ(見てて色々とだぎってしまったのは内緒だ)、軽く敬礼をして最高幹部様の仕事部屋を後にした。
アポロさんからいい匂いがしたのはたぶん気のせいじゃないはず。
仕事というか任務というか雑用は廊下の掃除だったし(終わった時にアポロさんに呼び止められた)、とりあえずアテナ様の所へ戻りますか。
「アテナ様ー!見てください!!」