創耶の言葉で場が静まる。
あの何とも薄っぺらい降霊の呪いが紡ぎ出されるのを深夜、玲音、莉央は待った。
だが、静まり返ったまま何の反応も無いことに深夜は訝しげに自分の二つ上の姉を見た。
それなりに付き合いの長い莉央は何かに気が付いた様で口を開く。
「……忘れたんでしょ?」
莉央の言葉にあからさまに創耶は狼狽えた。
場の3人はそれで理解した。言い出しっぺの創耶がそもそもきちんとルールを覚えていないことを。
「そ、そんな事ないわ。…じゃ、じゃあやるわよ?こっくりさん、こっくりさん私の為に来なさい!」
創耶の言葉に莉央は小さく溜め息をつき、玲音は笑った。
「そんなんで来るかっ!」
的確な突っ込みをいれるが、莉央は自身の身体が沈んでいくようなそんな感覚に陥った。
それは他の者も例外ではなかったらしく10円玉から手を離してしまっていた。
その感覚に完全に呑み込まれると4人は意識を手放したのだった。
最初に気が付いたのは深夜だった。
身体を起こし辺りを見渡す。
先程と何ら変わらない様子だった。いや、違う。
音が全く聞こえない。
普段ならカラスの鳴き声だとか時折通る人の気配等が感じられていたのだが今は全く無い。
何と無く異常を察し深夜は他の3人を起こしに掛かった。
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