時期遅れの梅雨の最中。
暑い訳でもなく少し肌寒い日々が続いていた。
憑神莉央は妹である玲音を探しに大学の中を彷徨いていた。
とっくに講義は終わり帰ろうといつもの場所で待っていたのだが来やしない。
そう言えば創耶の姿も見掛けなかったと講堂を一つ一つ確かめながら莉央は思い出していた。
漸くあと見回っていない部屋が幾つかという辺りで中から話し声がする部屋を見付け出した。
他の人かもしれないが、見てみないことには分からない。
ドアに手を掛けて静かに開けた。
そこには何とも言えない表情を浮かべた深夜と至極楽しそうな表情の創耶、そして非常に面倒そうな表情の己の双子の妹玲音がいた。
席を囲むように座り何かやろうとしているようだが、いかんせん莉央の身長と場所からでは何をしようとしているのかは見えなかった。
近付き、それに気が付くと莉央は溜め息をついた。
「大学生になってこっくりさんってどうなのよ?低級霊しか寄ってこないのに」
呆れた様な莉央の言葉に創耶は目を輝かせる。
「それが良いんじゃないの、ほら莉央もやるのよ」
そう言いながら席をあける創耶に莉央は嫌そうな表情を浮かべるが、それに構う様子もなく結局折れて席に着くとその紙面を眺めた。
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