この何処とも分からない場所で知らない誰かがいる。
その不安要素に4人の心境は揺れた。
相手はこちらに誰だと問い掛けてきている。もしかしたらここの住人で何かを知っているかもしれない。
けれども、こちらに害のある人間だったら…。
深夜がそう考え込んでいればふと莉央が考えることを放棄してしまったらしくその黒づくめの男に話しかけた。

「私は憑神莉央。聞きたい事があるんだけど良い?」

「莉央さん、ですね。赤屍蔵人と申します。聞きたいこととは?恐らく答えられないでしょうがね」

見た目と違って物言いは穏やかな様だ。
だが、安堵しきってはいけない様な雰囲気がある。

「ここは何処?」

「分かりません」

…考える間もなく即答と笑顔で赤屍と名乗った男は言い切った。

「……用事はそれだけ。じゃあ…」

それ以上の関わりは避けるべきだとこの場にいる全員が感じ取っていた。だから返事を聞く前にドアを閉めた。

「もしかしてさ、僕達みたいなのがいっぱいここに居るとか」

深夜がそんな憶測を口にする。

「さっきみたいなのがいっぱいとか止めてよね!」

創耶には苦手な部類の人間だったのかそう抗議の声を上げた。

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