「もうなんでも良いから早く出ましょう?」

創耶はそわそわしたように辺りを見渡す

「そうだね。とりあえず、現状把握を第一に考えるべきだね…」

創耶の言葉に莉央は頷くとそのままトイレの入口に向かっていく

「まあ…それが妥当か。」

「そうだね、自分の置かれてる状況がわからないって言うのが一番最悪な状況だもんね。」

玲音と深夜も莉央の言葉に頷くとその後に続き
創耶は莉央に張り付くように後をついていく

その様子を黙ってついていきながら黄泉はどこか感心したように眺めていた

「…冷静な判断と的確な決断力。パニックを起こすやつも居ないなんて中々だな。」

黄泉の呟きは誰にも聞こえなかったがその顔はどこか楽しそうに笑みが浮かんでいた

廊下に出て辺りを見渡すも相変わらず静まりかえった廊下を一行は下の階へと進んでいく

二階と一階の間にある踊り場の辺りで突然莉央が足を止め、全員がそれに続くように足を止める

「…。」

「…どうしたの莉央?」

階段を降りた先にある昇降口の玄関を睨むように見据える莉央に創耶は後ろから恐る恐る声をかける

「…皆、気を付けて。玄関の先から異様な雰囲気を感じる。」

「なら引き返しましょう。」

莉央の言葉に創耶が素早く答えると後ろから玲音と深夜にスパンとツッコミを入れられ蹲る

「引き返してどうすんの。」

「創耶…馬鹿だアホだとは思ってたけどここまでとは。」

玲音と深夜に責められながら立ち上がると眉をよせ下を見る

「だって…莉央が変だって言うから。」

「はいはい。じゃあ引っ張ってあげるから行こうねー。」

ぶつぶつ言う創耶を莉央はさっきの事が嘘のように軽いノリで創耶を引っ張りながら階段を降りていく
それに全員が続くと入口の前で立ち止まる

「…んじゃ、行くよ〜?」

莉央が掛け声と共にドアを開ける
すると突然入口に吸い寄せられるように強風が吹き荒れる

「うお!?」

入口に一番近いところにいた莉央が風に吸い寄せられ
その莉央を創耶が掴み
創耶を深夜を掴み
深夜を玲音が掴みそのまま吸い込まれていく
黄泉は慌てた様子もなく自ら風へと身を任せる

誰も居なくなった玄関の戸は静かにしまると
まるで何事もなかったかのように静寂が広がる

そう、まるでなにも無かったかのように…



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