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by Sirius Black



「シリウス、シリウス。シーリーウースー!」

少し顔を上げる。
真ん丸な瞳とぶつかった。

「もう、無視しないでよ!」

無視?そういうわけじゃないんだ、実は。

「悪い悪い、本が面白くてやめられないんだ。」

また目線を本に戻しながらちらりと盗み見ると、かすかに頬を膨らませる君。
ああ、可愛い。可愛い。

だから、もう少し。

「シリウスー、一緒に湖行こうって言ったじゃない、そんなに本がいいの?」
「ああ、そんなこと言ってたな。いいだろ、別に。湖は逃げない。」

また、ちらり。
頬が膨らんだ上に、唇もとがる。
やっぱり可愛い。

「もう、じゃ、最初から湖行こうなんて誘わないでよ…」
「もう少しだからさ。」


それからまた時間が経つ。本?そんなもの読んじゃいない。ページをめくって読んでるふりをしてるだけ。

僕は君を内緒で観察するので忙しいんだ。
爪を触ってみたり、窓の外に目を向けてみたり。ああそのちょっと不機嫌な顔もこの上なく可愛い。

...、そうだよ、僕は君に夢中なんだ。



「もういいよシリウス!こんなのだったら最初からリリーとお茶でもしてればよかった!」

いきなり席を立つ君。
...これは、ちょっと、やばい...のか...?

「じゃあね、読書のお時間を邪魔しちゃって悪かったわね!」

やばい、やばいやばい。ごめん!

「ちょ、待ってくれ、...いや...ごめん、その...」
「いいわよ、気を遣ってくれなくて。本、面白いもんね!」
「ごめん、違う、そうじゃないんだ。」

君は眉を片方くいっと上げた。そういうのも可愛いんだから心臓に悪い。

「......本当は本なんて読んでなかったんだよ、ふりをしてた。」
「はい?」
「...その...ちょっと怒ってるところが見たかったんだ...」

また目が大きくなる。
「もう、悪趣味!」
「いいだろ、全部可愛かったんだ。」

ああもう、そんなに簡単に赤くならないでくれ!可愛すぎて僕がどうにかなってしまいそうなんだ。


「ごめん、本当に怒らせる気は無かったんだ。ちゃんと埋め合わせはするから。」

「......じゃあ、次のホグズミードはずっと私と一緒にいること!」

え、何だよそれ埋め合わせどころか!
「最高だよ。」

君を抱きしめたら、幸せで自然と笑ってしまった。


可愛くて、大切で、大好きな、僕のたった1人の人。


悪戯仕掛人






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