同じ隊でなくとも、中々素晴らしい。自分たち夫婦には良く合っている。
「…ねえ?あなた?」
「うん?」
「今日は本当に、体調はよろしいの?」
 耳元で甘い声で尋ねる。
「おう。すこぶる調子がいいぞ」
「それは、素敵」
 首筋に唇を当てながら腕を伸ばし、先程まで自分の胎内に納まっていた身を撫でる。
 熱烈な妻からの誘いに夫としては張り切ってしまう。
 烈の片足を持ち上げ、勢いよく潜り込む。
「ああっ!」
「本当に今日の烈は淫らだな」
 十四郎が意地悪く囁き耳朶を噛む。
「あ、あんっ、私だってたまには…」
「うーん、堪らないな」
 目尻を染めながらも睨むと、夫は嬉しそうな表情だ。
 遠慮なしに妻に甘えられ、求められること程嬉しいことはないし、妙に気持ちが高揚し喜ばせたいと体も熱くなる。

「今日は仕事は忘れて貰うぞ」
「ああん!」





「あれ?虎徹副隊長、どうされたんですか?」
 病室巡りをしつつも何処か上の空の勇音を見つけたのは、他隊への備品補充を終えて戻ってきた葉太と夏四だった。報告の為に書類を勇音へと持ってきたのだ。
「出動だったのでは?」
「え?ええ、さっき戻ってきたところなのだけれど…」
 頬を染めながらも葉太と夏四から書類を受け取りつつも、まだ言い淀んでいる。
「……あれ?ひょっとして浮竹隊長が来てます?」
 十三番隊で顔を見せなかったので、寝込んでいるかとも思ったのだが霊圧を感じなかったので出かけているのだろうとは考えていたのだが…。
「うん、多分いらっしゃると思うのだけれど…執務室が出入り禁止になってて…」
 勇音の述べた理由に、葉太と夏四の目が丸くなる。
「えー!珍しい!!えー!」
 葉太が驚くほどに珍しい事態だが、夏四は納得したように頷いた。
「ああ…じゃあ、今日はきっと卯ノ花隊長も浮竹隊長もお仕事お休みですね。書類は全部虎徹副隊長の方へ持っていきます」
 あっさりと言えるのはさすが京楽家の娘と言ったところか。
「うう、や、やっぱりそうなのね…」
 勇音が真っ赤になって俯き、遥かに年下の部下に尋ねる。
「でもさぁ、夏四ちゃん、うちの父さんだよ?」
「双子の子供が同時に恋愛してて、刺激されない訳ないでしょ」
「え?マジで?そういうことなの?」
「…多分、うちの両親もそうだったし。三つ子生まれたきっかけそれだよ?」
「……そっかぁ…」
 葉太には少しばかり衝撃で、勇音にはかなりの衝撃だったようだ。

「子供が離れて、お互い再認識したんだから素敵じゃない」
「そ、そうだね…」
「そうね…そうよね…」
 胸を張る夏四に、葉太と勇音は少しばかり引け気味だ。
「少しは慣れた方がいいかも?円熟してからはまたちょっと違うから」
「マジで!?」
「ん、すっごく燃えるみたいよ。今更木隊長と草鹿副隊長もそうみたいだし」
「えー!そっちも!?」
「うん、八千代ちゃんが八番隊に居る所為もあってか、すっごいラブラブ状態。妊娠してる娘見て昔を思い出したって感じ」
「うわぁ…」
 開いた口が塞がらないとはまさにこのことだろうと、夏四は二人の顔を見て頷いた。
「少し慣れた方がいいよ?」
「無理」
「うん、無理だわ…」
 首を傾げ指摘するが、二人は即座に首を振った。
 そんな二人を見て、葉太は自分が教育するとして、勇音を何とかする必要があると夏四は決意した。
「旦那さんに一言お伝えしておきますね」
「夏四ちゃん!!」
 思わず悲鳴をあげる勇音に、夏四は決意固まった笑みを浮かべ返したのでした。



 その頃…。
「あん…十四郎様…」
「ん…烈…、なんだか止まれないよ」
「んん…私も…」
 部下や子供達のことなど気にする様子は欠片もなく、二人は愛し合い続けていたのでした。



おしまい

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