小説 | ナノ


▼ Re:birth

ーザァァァァ

ーキュッ


「ふう…」

今日、一日分の汚れを落としリビングへ向かう
熱めのシャワーを浴び渇いた喉に潤いが欲しかった

ーガチャ

「…帰ってたのか」

リビングのドアを開けるとソファーに仰向けに寝転んでいる京也が目に入った
疲れているのか…結構本格的に寝ているらしく寝息が聞こえる

「おい…京也。起きろこんなトコで
寝てたら風邪引くぞ」

通りすがりに声をかけたが起きる素振りはない 暫く放っておく事にし冷蔵庫へ向かう

「………」

冷蔵庫からミネラルウォーターを出し飲みながら寝ている京也を見つめる
仕事が終わった後 用事があるからと先に帰った京也
京也は時々 夜遅くに帰ってくる
成人した男だ子供じゃあるまいし何処で何をしようが自由だ
付き合いの一つや二つあるだろう

そう…付き合いの一つや二つ…

夜遅く帰ってくる時は決まって今のようにソファーで寝ている
寝ている京也の横に腰をおろす

「チッ…」

京也から石鹸の甘い香りがする
これも毎回の事 いつも同じ香りだ
肌けた胸元に目をやると紅い痕が幾つも見えた

「くそっ…!」

毎回、その香りを匂う度に苛立つ
京也も男だ SEXをしない筈がない
相手だっていておかしくない

「ん…?あっ…また、寝ちまったか…」

京也が眠たそうに目を擦りながら起き上がる

「京也…」
「ん?剣人か…悪りぃな起こしてくれた…んだろ?ふわぁ〜」

呑気に欠伸をしながら礼を言う
身体から甘い匂いを漂わせ 情事の後だと一目で分かる痕をつけ 何もない振りをする京也

「京也…」
「ん?何だ?」

髪を掻き上げながらこちらを見る

「もう…身体で仕事を取るのは止めろ」
「…っ!?」

京也の目が大きく見開く

「なっ…!?」

バレていないとでも思っていたんだろう目を泳がせ口は開いたり閉じたりと忙しなく動いている

「もう、だいぶ名前も売れてきた。これ以上必要ないだろ?」
「……」
「そんな事をしなくても仕事は俺達の実力で取る。だからそういう事はするな。」
「な、なん…で?」

何故、俺が知っているのか…

「京也を見てればわかる。いつもと違う匂いさせながら次の日には腰 痛そうにして何があったかバレバレだ。」
「う…そ…、俺…そんなに…わかりやすい?」
「安心しろ。透は気づいてねぇ。ってか俺以外は気づいてねぇよ。」
「そ、そっか…」

京也は眉毛を下げながら苦しそうな顔で笑う

「バレてたか…はは…俺 カッコ悪っ…」

両手で顔を隠し上を向く
多分、泣いてるんだろう

「京也 もうするな。」
「……」
「京也!!」

もうしない その言葉がすぐ出てこない事に腹が立ち腕を掴む

「っつ…!?」

顔から手を離させると 顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた

「京也…」

俺は堪らず京也の唇に噛みついた
角度を変え何度も柔らかい唇を貪る
口を開かせ舌を捩じ込む
京也は最初ビクッと震えさせたがその後は俺のキスを受け入れた

「んっ…んんっ…」

京也の舌を絡めとり吸う
その度に京也が甘い吐息をだす
クチュクチュと舌と舌が絡み合い 唾液が溢れる音がする
一度好きな奴に触れてしまえばもう止まらなかった…
今まで抑えていた気持ちが溢れ出す

「京也…俺はおまえが好きだ…他の奴に抱かれてるなんて耐えられねぇ…!」

強く抱き締めながら想いを伝える

「剣人…俺だって…おまえが…好きだ」

京也が首に手を回し顔を胸に埋めてきた

「けど…どうしようもねぇ事だってあるんだよ…!」
「そんなの…やってみなきゃわからねぇだろ!俺がおまえを助ける。」
「………」
「おまえだって好きでヤッテんじゃねぇだろ?」
「…っつ。当たり前だっ!」
「なら…俺に言え。京也…一人で全部背負い込むな…何のために俺らがいるんだ。」
「剣人…。わかった…。」
「よし…。」

涙でぐしゃぐしゃになった顔に口付ける 額、瞼、頬、唇
くすぐったそうに京也が微笑む

「どっちが歳上かわかんねぇな…剣人…。」
「何だ?」
「俺…おまえに無茶苦茶抱かれてぇ…」
「…っ!?」
「抱いてくれ…」
「今の俺は手加減できねぇぞ。いいのか?」
「上等…」




「あっ…はぁ…んっ…」

他の誰かがつけた痕に舌を這わす
紅い痕の上から吸い付き 誰かがつけた痕を消していく

「もう…離さねぇぞ…」
「あぁっ!あっ…!」

尖った乳首に噛みつきながら 股の間の硬くなったモノを擦ると京也の身体がビクッと震え 俺の頭を掴みながら嫌々と首を振る

「嫌じゃねぇだろ?濡れまくってるぞ」

チャックを開け 下着をずらし京也のモノを取りだすと先走りの液でグチャグチャに濡れていた 蜜を掬い取り先端に擦りつけグリグリと指の腹で刺激する

「あぁ!くっ…!けん…と!はぁ…」

堪らないといった感じで眉間に皺を寄せ悶える京也 もっと乱れさせたくて竿を上下に扱く

「あっ…あっ…やっ…で…るっ」
「イッちまえ京也。」

袋の部分を揉みながら扱く速度を上げる

「やぁぁっ!剣人…!イクッ…あぁぁっ!」

仰け反りながら京也が白く濁った液を手の中に吐き出す

「はぁ…はぁ…」

目は潤み 口からはだらしなく涎が垂れている。こんな姿を他の誰かにも見せていたかと思うと嫉妬で狂いそうになる。
俺じゃなければ満足できない身体になるまで犯し 誰の目にも触れないように閉じ込めて置きたいと思ってしまう。

「剣人…顔 怖ぇよ…。もう…おまえ以外の奴に抱かれやしねぇよ…」

俺の考えている事が分かったのか 俺の頬を撫でながら京也は笑った

「ああ…」
「剣人…挿れてくれ…」
「っ…!バカか…まだ解してないだろうが」
「いい…そのまま突っ込め。おまえの全て受け止めてやるよ」

そう言いながら京也は俺の服を脱がしていく 下着を脱がし俺のモノを取りだすと口付けた

「こいよ…」
「煽んなっ…」

京也を押し倒し 股を開かせ硬くなった俺のモノを入り口に擦りつけた後 一気に挿しこむ

「あぁぁっ!っ…!」
「くっ…熱っ…」

解さず挿れた割にはすんなり俺のモノを呑み込む
違う奴のモノを呑み込んでから時間があまり経ってないからだろう
俺のモノに纏わりつき蠢く

「くそッ…!」

ーパンッ!パンッ!

「あっ!はっ…あぁ!あっ…」

他の奴が先にこの中を味わった事に嫉妬し 最初から激しく突く
奥深く入るように膝の裏を持ち上げる

「くぁ…!深っ…あぁっ…剣人…」
「京也…好きだ…」
「俺…も…あっ…んっ…好き…だ」

京也が俺の首に腕を回し擦り寄る
首に噛みつきながら腰の動きを速めると 締めつけがキツくなる

「はっ…くっ…だすぞ…っ」
「あぁ…ぜ…んぶ…おまえの…俺によこせっ…」
「京也…!」

京也の唇に噛みつき舌を絡ませ 中に全てを吐き出した




「おやすみ…剣人…」

寝ている剣人に口付け 部屋をでる
ベランダに出て外の空気を大きく吸った後 煙草に火をつけた

「さて…これからどうするか…」

どうやって相手の誘いを断るか…
いや…断るのは簡単だ…問題なのは断った後だ…。
何せ相手は人気番組を幾つも手がけるプロデューサー。断れば今 出ている番組も降ろされるだろう。
断って降ろされていくタレントやアイドルを沢山見てきた…
その後もそいつの圧力で他の番組にすら出させてもらえず消えて行った奴だっている
そうなっては困る…XIPを…剣人をテッペンに連れて行くそれが俺の目標だ。
その為なら何だってすると決めた…
例え身体を売ってでも…

人気番組にでると知名度が上がる
この番組の話が来た時はチャンスだと喜んだ…
だが、あいつは条件を出してきた

『不破剣人くんだっけ? 彼…いい身体してるね。どうだろう?彼を抱かせてくれたらこの番組だけじゃなく、他の番組にも君達を使うよ。』

俺が出した答え…

『あいつより…俺の方がきっと具合いいですよ?どうです?俺で試してみません?』

代わりに俺が抱かれる事だった

剣人が好きだった…
剣人がこんな奴に抱かれるのも嫌だった 剣人に興味を持たれる事も嫌だった。ならば興味を反らせばいい…そう俺は考えた…
いま思えば馬鹿な話だ…最初から断っておけばよかった。
だが、多分あの時の俺は冷静に物事が考えられなかったのだろう
流されるまま奴に抱かれた…
一回だけでなく何度も何度も…
抱かれる度に風呂場に篭り泣きながら身体を何度も洗った 奴が触れた感触を消したくて…

女じゃあるまいし処女という表現も可笑しいがやっぱり最初に抱かれるのは好きな奴に抱かれたかった…
抱かれる度にあいつらを裏切っている罪悪感 好きでもない奴に抱かれた事による嫌悪感、虚無感、汚れた自分 バレないように必死に隠した

けど、剣人には全てバレていた…
情けなかった悔しかった悲しかった
嫌われるのが怖かった
でも、剣人はこんな俺を受け止めてくれた…

「腹 くくるか…」

明後日は、あのプロデューサーの番組の収録 断るならその日…
どんな結末になるかは分かっている
けれど…剣人がいる。
支えてくれるメンバーがいる。
また一から3人でやっていくそれだけ…

煙草の火を灰皿に押しつけ消す

俺達は消えない…
消されたって何度でも這い上がってやる

もう俺は間違えない





「おはようございまーす!」

早めにスタジオに入る
何故かいつもと雰囲気が違う…
不思議に思いながらも俺は目当ての人物を探す

「あっ、丁度よかった!鮫島さんプロデューサー見ませんでした?」
「あっ!伊達君!ちょっといいかな?」

プロデューサーの次に偉い人に声をかけるとスタジオの隅の方へ連れて行かれた

「何ですか?鮫島さん…なんかスタジオもいつもと違うけど…」
「実は…プロデューサー捕まったんだ。」
「は?」

いま何て?捕まった?

「プロデューサーさぁ…新人とかに俺と寝たら仕事をやるって脅してたんだ。」

ドキりとする もしかして俺の事もバレてるんだろうか…

「そこまではよくある話なんだけど…どうやら未成年にも手を出してたらしく…しかもその子達に薬…無理矢理ヤラセてたらしいんだ…」
「え?」

薬…?俺はそんな事されてはいない

「何もわかんない未成年だけにさせてたみたいで…怖くなった子が事務所に言ったみたいで。事務所が警察に通報して 昨日 現場を取り押さえたみたいで即逮捕されたんだ。」
「そう…ですか…」

逮捕…

「伊達君…君も…」
「え?」
「いや…何でもないよ!番組は俺が引き継ぐから気にしなくていいよ!じゃぁ、これから宜しくね!」
「あっ!はいっ!お願いします!」

立ち去る鮫島さんに一礼する

「あっ!そうだ…伊達君。」
「はい?」
「いい仲間を持ったね?」
「え?」
「プロデューサーの逮捕に貢献したの不破くんだよ。」
「えぇ!?剣人が…!?」

ちょ…!何でアイツが!

「不破くん…大事な奴を苦しめてる奴が許せないってさ…。伊達君…気づかなくてごめんな。キツかったろう。」
「!?」
「これから頑張ろう。そして仲間を大事にね。」
「鮫島さん…。」
「この事は僕しか知らないから…じゃあね。」
「はい!ありがとうございます!」

礼を言うなら不破君にね と言って鮫島さんはいなくなった

「よかったな…アイツいなくなって」
「剣人!?」

いつの間に来たのか 剣人が笑いながら横に立っていた

「おまえ何したんだよ…」
「さぁな?」
「おい、教えろ!だいたい俺が話つけるからおまえは何もするなっつただろうが!」
「はいはい。」
「はいはい じゃねぇ!おい剣人!」

剣人は俺を無視してセットの方へ歩いていく

「細けぇ事 気にすんな。京也は今まで通り俺ら野獣二人の面倒みてリーダーやってくれりゃいいんだ。」

そう言うと ほら行くぞ と言いながら手を差し出した

「はん!上等…覚悟しとけよ。剣人。」

俺はその手を取り歩きだす
セットの前にこちらに手を上げる透が見えた

そうだ…これからも3人でやっていく
テッペン目指して…
その中で また試練にぶつかって悩み迷う事もあるだろう
けれど、剣人…俺はおまえがいればそれも乗り越えられる

「剣人!」
「あっ?」

ーありがとう 愛してる

「っつ///」

耳元でそう囁いて 俺は透の所へ駆けた

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