▼ 剥ぎ取られた熱
ーー春の到来を感じさせる3月。
ーーその日、名前は教皇宮……しかも教皇室に呼ばれていた。
しかも名前の主には秘密で…。
名前は幼き頃から巨蟹宮のお付きの女官。
巨蟹宮の主であるマニゴルドは任務の為、今日は不在だった。
予定では明日帰還するらしい。
マニゴルド不在中に、教皇セージの部屋に呼び出された名前。
名前はキトンの裾をぎゅう…と握り締めながら、ドキドキと緊張する自身の胸を抑える。
「セージ様…一体何の用事なのかしら…?マニゴルド様が不在中に、こんな風にお呼び出しなんて…しかも私に。」
ーーマニゴルド様に秘密だなんて…。
ーー考えても分からないわ。
名前は内心そう思いながら、教皇セージの部屋の豪華な掘りと装飾がされている年代物の重厚な扉をコンコン…!と軽くノックした。
スゥ…と息を大きく一つ吸ってから、その場に跪き…凛とした声色で室内に居るであろう教皇セージへと言葉を告げた。
「教皇様、御命令通り名前が参りました。」
すると室内からセージの声であろう、直ぐに返事が返って来る。
「ああ、来たか。入るがいい。」
サラッとそう告げられて、名前は慌てて首を左右に振り、焦りながら答えた。
「なりません、教皇様の私室に私如き宮付きの女官が入るなどと…他の者達に見られでもしたら、貴方様のお立場が…!」
そう答えて、名前は唇を軽くキュッと引き締めた。
流れる自身の薄茶色の長い髪を耳に掛けて。
名前の言葉に、内側から扉がギィ…と重々しい音を立てつつ開かれた。
「あっ…、教皇様…っ!」
「ほら、早く入らねば…見られるぞ…?」
ーーグィ…!
強引に腕を掴み、グィ!と引き寄せられて、ハッとしたその時には、名前は既にセージの部屋の中に入っていた。
ーーバタン…!
扉が閉められて、つい後退りをしてしまう名前。
ーートン…!
「あっ…。」
「…逃げられんな。」
名前の背中には扉…目の前には教皇セージ。
普段は顔を隠す様に付けている教皇の証たる黄金色の冠は外され…素顔を露わにしていた。
セージは低い声色でそう囁き、名前の耳元に唇を寄せ…
「……お前はマニゴルドの女官だったな…。マニゴルドに付くのは止めて…どうだ?私専属の女官になっては…?」
「え?それはどういう意味でしょうか…?」
「…分からないだろうな…。私はお前をずっと見ていた。歳はかなり離れておるが……私の弟子であるマニゴルドに懸命に尽くし、常に笑顔でいる名前にいつしか惹かれておったのだ。…お前さえ良ければ、この私の…」
「…教皇、様…。」
セージがそう囁きながら、さらりと名前の薄茶色の長い髪を撫で…そっと顔を近付けたその瞬間ーー……
「お師匠、何…人ンとこの女官に手ェ出してるんスか…?」
そう言葉を発しながら、教皇部屋の扉を開き、自身の蟹座キャンサーのマスクを懐に抱えながら、ちらりと見やるマニゴルドが其処に居た。
「マニゴルド…お前、明日任務から帰還予定ではなかったのか?」
「俺が突然、帰って来たら何かまずい事でもあるんですか?」
「…っ、。」
「…お師匠、何、言葉に詰まってるンだ?」
マニゴルドの鋭い追求の言葉に、セージは言葉に詰まり、何も言えなくなった…。
その隙にマニゴルドはセージの腕の中に居る名前を見て、
「ほら、来いよ。」
ーーグィ…!
「あっ、マニゴルド様…っ!」
不意に強く名前はマニゴルドに腕を掴まれて、そのまま扉を開いてマニゴルドは通路に出ようとする。
それを見たセージは声を荒げてマニゴルドへと叫ぶ。
「マニゴルド!師であるこの私にその様な態度…!名前に用事があるのだ!お前ではない。お前は先に任務報告があるだろう?」
そう叫ぶセージに、マニゴルドはちらりと首だけ振り返り…
「だから、任務完了報告をしようと思い、教皇の間に行ったら、お師匠…居なかっただろ?それに、名前も居ないと来た…。名前の小宇宙がただ漏れだったんだよ、此処からな…。悪りィが名前は連れてくぜ?
幾らお師匠と言えども文句は言わせねェ…名前は俺の女官だからな。」
一言、言葉を吐き捨てて…
「行くぞ…。」
「…っ…。」
マニゴルドは名前の手を引いて教皇セージの部屋を出て行った。
ーーバタン…!
通路に出てからマニゴルドは名前の手首を強引に掴んだまま、早足で教皇宮の通路内を歩を進める。
「…マニゴルド様…っ、は、早いです!」
「煩っせェ…お前はつべこべ言わずに俺に着いて来い…!」
「…っ…!」
マニゴルドはそう言葉を吐き捨てて、名前を連れて行く。
教皇宮入口に立ち、真下に延々と続く灰白色の石段を見下ろしながら…
「多少、揺れるが俺に掴まってろよ。直ぐに着くからな。」
そう名前へと告げたマニゴルドはニヤッと軽く笑い、ヒョイ!と名前の身体を軽々と抱き上げた。
薄い布越しに伝わってくるマニゴルドの力強く男らしいゴツゴツとした長い指先とその感触に、名前はカアァ…と瞬時に頬を赤く染めて俯く。
「…っ、お前…。」
「マニ、ゴルド様…?」
「…何でもねェ…。」
名前のそんな些細な仕草さえも、胸がグッと疼くのを感じたマニゴルドは不意に言葉に詰まってしまう自分に苦笑しながら、自身の守護している巨蟹宮迄一気に駆け下りた。
各宮の守護者達に軽く一言告げて通りながら。
*****
ーーあっという間に巨蟹宮入口に着いたマニゴルドと名前。
マニゴルドは一般人である名前を思い、光速の速さで駆け下りるのは止めて速めの速度で駆け下りて来た。
故に、名前は多少クラクラ感はあるものの…マニゴルドからストン…とその場に腕の中から降ろされ、立つ事が出来た。
ーー腕の中から降りて、寂しく感じるなんて…。
名前は内心そう思いながらマニゴルドを見上げる。
すると、マニゴルドが何も言わずに名前の手をキュッと握り締めて、そのまま巨蟹宮内の長い回廊を歩き出した。
居住スペースへと続く扉の前に立ち、マニゴルドはギィ…と音を立てて開く。
そして、そのままリビング内へと名前の手を引きながら入る。
入ったその瞬間ーー…
名前の視界が暗闇に包まれた。
「あっ…!」
ーーぎゅう…!
「…ったく…お前は…放っておけねェだろうが…!」
「マニゴルド、様…。」
マニゴルドはそう呟きながら、自身の高い身長を屈めつつぎゅう…と強く抱き締めた。
ーーキャンサーの黄金聖衣が、名前の頬にピトリと当たり…ひんやりと心地良い…。
ひらりと白いマントが揺らめく。
そして、そのままマニゴルドは名前の肩口に顔を埋めてそっと囁いた。
「…俺が帰って来なかったら…名前はお師匠のモンに、なっちまってたのか…?」
そう切な気に呟くマニゴルドに名前は何も言えなくなる…。
「…教皇様の…お望みでしたら…。」
マニゴルドの胸の中に顔を埋めたまま、名前も小声でそう答える。
すると、
ーーコツン!
とマニゴルドが名前を抱き締めつつ、頭を軽く叩く。
「痛っ…マニゴルド様?」
「……馬鹿野郎が…!教皇と言えどもお前は好きでもねェ男のモンになって、それで満足なのかよ!お前には好きな男とか……いねェのか?」
名前の言葉に苛立ちを隠そうとせずにマニゴルドはそう叫んで眉間に深く皺を寄せた。
すると、名前はマニゴルドの背中にぎこちなく、細い腕を縋る様に抱き着きながら、小さな声色でそっと言葉を紡ぐ。
「…マニゴルド様…私の好きな人は……貴方様です。
ずっと、ずっと密かに想っていたんです。御迷惑かと思い…貴方をいつも見ているだけの恋…。それだけで幸せでした。」
「…名前…。」
名前からの突然の告白に、マニゴルドは鋭い青銀色の双眸をやや大きく見開き、驚きの色を浮かべつつ思わずその華奢な身体をぎゅう…と強く抱き締めた。
抱き締めつつ、名前の白く細い肩口に顔を埋め…マニゴルドは青銀色の双眸をやや伏せながら囁く様に呟く。
「…俺もお前の事、好きだ。」
そう囁き、ぎゅう…と名前の細い身体を強く腕の中に閉じ込めた。
マニゴルドの吐息が名前の首筋に掛かり、擽ったい感覚を感じ…名前は瞳を大きく見開く。
「え…?嘘…。」
「嘘じゃねェ…本当だ。つーか…お前…お師匠の小宇宙を感じる、あれ以上何もされてねーだろうな…?」
不機嫌な表情でそう告げて来るマニゴルドの言葉に驚きの色を浮かべながら、名前は首を勢い良くブンブンと左右に振る。
「はい…!何も、教皇様にはされてません…!」
そう慌てて叫ぶ名前にマニゴルドは抱き締めていたその手をやや緩めながら、名前の赤く紅潮している顔を覗き込む様にして見つめつつ答えた。
「マジか?」
「ほ、本当ですっ!ちょっとキスされそうになってましたけど、大丈夫です…!」
マニゴルドの冷ややかな視線に、名前は更に慌ててそう答えてから、ハッ!として自身の口元を両手で覆い隠した。
「…何だと?キス、だ…?ふざけんな…ったく歳くってる癖に本気で名前に手ェ出そうとしてたのかよ、お師匠は…。」
マニゴルドはそう呟きながら、自身の腕の中にスッポリと収まっている名前を更に腕に力を込めて、ぎゅう…と抱き締める。
「…っ。」
「…大丈夫だろうと思ってた、俺の目を掻い潜ってそう簡単に名前に手ェ出そうとして来る奴はいねェってな。
ケド、どうやら余裕振ってる場合じゃなさそうだぜ…。」
マニゴルドはそう呟きながら、名前の身体をやや自身から離して名前の赤く火照った頬をさらりと撫でた。
「……マニゴルド、様…。」
「名前、悪りィ…。」
ーーヒョイ!
「え?…何を……っ?きゃあっ!マニゴルド様、降ろして下さい!」
マニゴルドはそう言葉を吐き捨てながら、名前の身体を軽々抱き上げる。
名前が驚きの声を上げるのを聞きつつ、口角を上げたまま歩を進め始めた。
マニゴルドが抱き上げた瞬間、不意に落ちそうになる感覚に名前は陥り、慌ててぎゅう…と彼の逞しい腕にしがみ付いた。
「…あ?どうした?」
「あの、いえ…何でもありません。」
「…変な奴…。」
そう呟き、赤く火照った顔を隠す様に自身の胸に埋めて来る名前にマニゴルドはそう答え、抱き直しながら寝室の扉を足蹴りし…中へと入って行った。
名前を抱き上げたまま薄暗いマニゴルドの寝室内…。
まだ夕刻前だと言うのに、この巨蟹宮は静まり返っている。
マニゴルドは腕の中から名前を寝台へと降ろす。
「…っきゃあ!マニゴルド様…!?」
「ああ、少し待ってろ。」
寝台に寝かされた動揺しまくりの名前をちらりと見下ろして、口角を上げながら、マニゴルドは
そう告げる。
そして、自身も任務帰りだった事からキャンサーの黄金聖衣を着用したままだという事に気付く。
はらり…と自身の黄金聖衣に付いている白いマントを床に投げ捨て、僅かに小宇宙を込め…黄金聖衣を外した。
瞬時にキャンサーの黄金聖衣が蟹座の形に変形して寝室の端にストン…と降りた。
「…今回もありがとな、相棒。」
キャンサーの黄金聖衣の方を見やりながら、マニゴルドはそう言葉を掛けてニヤリと笑う。
聖衣を外したマニゴルドの姿は上半身裸状態…。
そんなマニゴルドの逞しくて男らしい肉体美に思わず名前は見惚れてしまう。
「…何、見てんだよ。お前…。さては俺様の身体に見惚れたンだろ?」
そう呟き、意地悪に微笑むマニゴルドを見て名前はカアァ…と顔が瞬時に真っ赤に染まった。
「…なっ、何を言うんです!?マニゴルド様…!」
「クク、図星なンだろ……強がんな。」
「違いま……ッン…、ん…!」
図星過ぎて、しどろもどろになりながら否定する名前の身体に覆い被さり…マニゴルドは名前の顎を掴み、言い掛けているその言葉を遮る様にして強引に唇を奪った。
唇を塞ぎながら、マニゴルドは名前の女官の正装であるキトンの薄い衣の中に指先を滑らせる。
なぞる様に、名前の素肌へと直に触れて来たマニゴルドの熱い指先に名前は漏れ出る吐息を押さえ切れない。
「…あっ…ぅ…。」
素肌を直に触りながら、マニゴルドは名前の背中をぎゅうと抱き締める。
そして、深く舌を絡ませつつ…もう片方の掌で名前の胸をキトン越しに軽く触れながら揉み出す。
「あぁっ…、ん!…はぁ…っ。」
「…これ位で感じてンのかよ…まだこれからだぜ…名前…。」
マニゴルドは名前の唇を甘噛みしつつ、そう囁いて意地悪に微笑した。
そして、そのまま名前のキトンの胸元を強引に押し広げ…露わになった綺麗な鎖骨をなぞる様に唇を這わせる。
ツゥ…と唇をなぞらせたまま、名前の胸の飾りを下着を剥ぎ取ってピチャリと音を立てながら舐めた。
「…やっ…あぁ…っ!ん…っ…!」
「嫌じゃねェだろ…?こんなに尖ってるぜ…?感じてる証拠だな。」
意地悪にそう囁きつつ、マニゴルドは名前の胸の飾りを口内に含み、舐め吸った。
ピチャピチャ…と卑猥な音を立てつつ、舐めるマニゴルドの温かな湿った舌の感触に、名前の唇から甘い声が勝手に漏れ出る。
「…はぁ…っあ…ん、ん…!」
「…もっと聞かせろよ、そのイイ声…。」
低い声色で囁くマニゴルドのその言葉に名前の頭がクラリ…と眩暈を起こしたかの様な感覚に捉われた。
マニゴルドの指先、舌の感触に名前の唇からは抑え切れず…勝手に声が漏れ出る。
「…っふぅ……はっ…ぁ…。」
「我慢すんな…もっと声出せ…。」
その甘い声を聞きながら、マニゴルドは名前の白い腹部をさらり…と撫でつつ、瑞々しい太股を這わせる様に撫でた。
深く角度を変えて、名前の舌を捕らえる様な啄ばむキスをし続けながら、マニゴルドは既に潤って溢れそうな名前の華へと指先を伸ばす。
ーーチュク…ジュプ……
花芽を摘み…擦る様にさすってみると、名前の身体がビクン!と跳ね上がる。
「あっ、あぁ…っ、ん…マニゴルド様…!」
「…濡れてるな、もう漏らしてンじゃねーか…。」
マニゴルドはそう囁きながら、息も絶え絶え状態で瞳が虚ろになって甘い吐息を零す名前を意地悪な眼差しで見下ろしつつ、ニヤリと笑った。
そのまま名前の胸を揉みつつ、もう片方の指先で熱く潤っている華の内へと滑り込ませる。
ーークチュリ…チャプ…
濡れた水音を立てながらマニゴルドは名前の華の内を擦る様にして指先を動かした。
「やぁっ…あ、ん…っ!」
まるで違う生き物かの様に自分の内で動くマニゴルドの長い指先に、名前は我慢出来ずにその広くて逞しい背中へと縋る様に抱き着き、固い肩口に顔を埋めた。
濡れた蜜がマニゴルドの指先に絡みつつ、そのまま腕を伝って零れ落ちる。
ーーツゥ……
「クク、いやらしいな。」
そう囁きながら、自身の指先を零れ伝う名前の蜜を見つめ……喉奥で笑う。
そのままマニゴルドは名前の内を限界迄攻め続けた。
「はぁっ、マニゴルド様…!も、駄目です…!」
「ああ…俺もお前の乱れてるその姿でヤベェ…。」
もう限界と、泣きそうな表情で自分を見上げて来る名前にマニゴルドは名前全てを征服したいという感情がフツフツと自身の内から込み上がって来る。
ーーつーか…俺も限界だ…。
ーー好きな女のこんな乱れた姿を見て、平気で居られるワケがねェだろうが。
マニゴルドは内心そう思い、フ…と軽く笑う。
熱く燃えそうな自身の熱をもう抑え切れない…。
「…名前、そろそろいいか?」
「は、はい……マニゴルド様…。」
自身の欲望を最早堪え切れないマニゴルドは、既にもう熱く猛った自身を名前の華の内へと沈めて行く。
ーーズズッ……ズン…!
「…っはぁ…、あ…んっ…。」
「は……っ、お前の中….熱くて溶けそうだ。」
自身全てを名前の中に沈めて、一度ぎゅう…と強く名前の汗で濡れた身体を抱き締めた。
濡れた汗ごと、密着する素肌の感触が心地良い…。
マニゴルドは名前を強く抱き締め、深く口付けをしながら腰を動かし始めた。
何度も突き動かし、名前の身体を貫く。
荒い吐息使いをするマニゴルドと、勝手に漏れ出る嬌声を上げる名前。
激しく律動するマニゴルドの深青色の髪から汗の雫が零れ落ちた。
余りの快楽に、その秀麗な顔を若干歪めるマニゴルド。
「…お前の中、最高…。」
「あぁっ、んっ!あっ…あぅ…!」
マニゴルドは腰を名前へと打ち付けながら、甘い言葉を囁く。
その言葉を聞きながら、名前はマニゴルドの背中にぎゅう…と更に強く抱き着いた。
卑猥な水音が、マニゴルドが律動する度に室内に木霊し…響き渡った。
パンパン…!と肌と肌の打ち合う音も水音と相成ってそれを聞きながら尚更にマニゴルドの内に火が灯る。
「…名前…好きだぜ…。」
「あぁっ…!あ、んっ…はぁ….私も、私も大好き、ですっ…。」
互いに愛を囁き合いながら、激しく絡み合う汗に濡れた2人。
寝台のギシギシッ…と軋む音と、摩擦するマニゴルドの律動の音が響き渡る。
再度、激しく名前が壊れる位に律動を続けながらマニゴルドは名前の唇を塞ぐ。
込み上げる欲求に堪え切れずに、吐息を漏らしながら律動を速めた。
ーーパンパン…!
ーークチュリ…クチュ、ジュプ…
「くっ……!名前…っ…。」
「マニゴルド様…あぁ…っ…!」
互いに高まる熱と、自身の内に溢れ零れそうな程の愛を感じ…ほぼ同時に果てた。
*****
マニゴルドと名前は暫く裸のまま…抱き合う。
力尽きたのか、名前はウトウトとしていた瞼を擦っていたかと思うと…いつの間にか眠り出す。
名前を腕枕しているマニゴルドは、そんな名前を熱の篭った眼差しで見つめ…そっと愛の言葉を紡いだ。
「…愛してるぜ…名前。女官業は今日で辞めだ……。」
ーーたった今からお前は俺の恋人だ。
そう小さな声色で囁いて、チュッ…と軽く名前の唇に触れるだけの甘いキスをした。
「…ったく……この俺を溺れさせたんだからな…お前自身で責任取れ………幸せにしてやる。」
ーーこんなに惚れるのは、もうこの先ねェだろ…。
マニゴルドはそう囁いて、愛おし気に自身の腕の中で眠る名前を強く抱き締めた…。
【誰にもやらねェ…。】