貴方の言葉は、いつだって


「宇崎先生!」
「なんでしょうか?」
「宇崎先生!」
「用がないなら授業戻れ」
「宇崎先生!」

私が何度も何度も呼ぶものだから、先生は苛立った様子で私が座る長椅子の方に振り向いた。また左目がぴくってしている。
風邪から完全復活した私は、毎日保健室に通った。もちろん具合が悪いのではなく、先生に会うために。先生は私が風邪を引いたあの日以来、少しだけ優しくなった。

「先生、私に優しくなったよね!」
「宇崎先生女の子にはみんな優しいから」
「やっぱり!」

先生は不愉快そうに眉をひそめたけど、私には、恋する乙女には分かる。先生は私に優しくなった。照れなくってもいいのに。
私は長椅子から離れると、先生の机の横に転がっている丸椅子に座った。先生に近寄るように引き摺って移動したら怒られた。

「傷になるだろうが」
「私の恋心の心配もしてよ」
「若者は傷が癒えるの早いから、心配無用だね」

いつになく爽やかな笑顔を見せた先生は、胡散臭かった。

「ねえ、宇崎先生」私は先生に向かい合うようにお願いする。
先生は渋々と椅子を回して向かい合ってくれた。私はにやりと満面の笑み。
そして先生の手を両手でしっかり掴んで包んでぎゅうっと握った。先生は驚いたみたいだけど、いつものように怒鳴らないからやっぱり優しい。

「先生」

私は出来るだけ女の子らしい声を出すよう心掛けた。

「私、宇崎先生が好きです」

風邪で熱に浮かされている時、誰かが言っていたような気がする。


「決まり文句さ、『未来は誰にも分からない』ってね」


end

宇崎先生と女子生徒のお話でした。締まりない終わり方ですみません。
「貴方の言葉は、いつだって」その他サブタイトル等は空をとぶ5つの方法さんからお借りしました。

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(C)神様の独り言 2010.7.1
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