仁王雅治を呼ぶ方法
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「真田、仁王は?」
「うむ、また居ないようだ…」
「仕方ないね、この前柳が言ってたアレ、やってみようか」




(仁王雅治を呼ぶ方法)




「ちょ、ちょっとなんですか!」


珍しく柳生が叫ぶもんだから、皆練習を一度辞めて声のする方を見た
そしたらぐいぐい肩を押されて部室に追いやられる柳生と、ぐいぐい肩を押して部室に追いやってる幸村の姿があった



『何してるんだろ…?』
「さぁな」


隣に居たブン太に聞いてもガムを膨らませて首を傾げるだけだった


完全に柳生と幸村が部室に消えると僕等はまた不思議そうに顔を合わせる



「もしかして幸村と柳生の奴…」
「できて…」
『あ、出て来たよ』


ブン太とジャッカルが若干危ない方向に思考を飛ばしそうになった瞬間
幸村と、や…柳生のはずの……仁王が出て来た


そして幸村は誰かを探している様子でコート内を見渡す



「お、おい…幸村君こっち来てるぜぃ…」
『ジャッカル!取りあえず死んでこい!』
「俺かよっ!」


ゆっくりと近付いて来た幸村は怯える僕等3人の前で止まった


「ユウ」



そう僕の名前を呼ぶと、他の二人は緊張が解れたように息をつく


『はい…?』


怖々と返事をすると笑顔の幸村が耳打ちをして来た



"あの柳生に抱きついて"
『は?』



意味も分からず首を傾げると「良いから」と背中を押されて一歩、柳生扮する仁王の元へ踏み出される




『んー…意味分かんないけど良いや』



とてとて、と柳生の元まで走り首を絞める勢いで柳生にタックルした


「ちょ、ユウ君、ユウ君!くるし…」
『だって幸村が抱きついてこいって…』
「絞めてます!入ってます!」


バタバタ暴れる柳生を力で封じ込めて大人しくさせる
いつまで抱き合っていればいいのか分からず仁王の顔した柳生を首を傾げた




「何しとるぜよ」


暫く抱き合っていると後ろから僕を引っ張る力が来て、仁王の不機嫌そうな声が聞こえた



『あ、におー』

首ねっこを掴まれた僕はぷらんぷらんと宙に浮かびながら仁王の登場に目を丸くする



「それは柳生じゃき、」
『うん、知ってる』



柳生も詐欺を解いていつもの自分に戻る

意味の分からない僕と柳生はとりあえずまた目を合わせた



「やっぱり来たね。仁王」
「ほぅ、そう言うことか。幸村。してやられたナリ」


満足そうに微笑む幸村は僕と柳生にお礼を言った


「柳が言っていてね。仁王はユウ溺愛だから、サボっている間でもユウが視界の中に入るどこかでサボって居るだろう。って、だからユウにプチ浮気をさせた訳なんだけど…柳のデータ以上に早いスピードで到着したみたいだね」

「参謀には全てお見通し、っちゅー訳か」



自嘲気味に笑った仁王は僕を地上に降ろすと頭を撫でた


「でもまさか、ユウと柳生がキスしようとするなんて、それは計算外だったよ」

「な、何を言ってるんですか幸村君!」
『いつちゅーなんかしようとしたんさ!』


「え、だって二人とも至近距離で顔倒して見つめあってたじゃないか」

「あれは意味が分からないから二人で首を傾げていたんです!」
『んだんだ!』



幸村のとんでも勘違いで周りが凍って行く


「俺にもそう見えたぜよ…」


目の奥に怒りを含んだ仁王は冷たく笑った


「ちゅーか、俺の居た場所ではキスしてるように見えたナリ」


バキバキ、と間接が鳴る音がする


「にっ、仁王君!」
『はわわ、仁王…!柳生は無実だから!』
「ほぅ…ユウは柳生を庇うんか…」
「ユウ君!私を庇わないで下さい!」
『でも柳生!確実に殴られるよ!』
「仲良ぅなったのぅ。お二人サン」

「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!」


















「と、言う訳で上手く行ったよ。柳」
「そうか、それは良かった。」
「でも仁王のことだから次は同じ手じゃ引っかからないよね…」
「心配するな、精市。次の作戦は考えてある」
「そ?それなら良かった」

「しかし、精市」
「ん?」

「ここ最近柳生の姿を見ないのだが…」
「あぁ……多少の犠牲者はつきもの、ってね」

「………。」
「ふはっ」





おわり



     







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