僕を見つけて
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「ユウ、先生が呼んでたぜよ」


これは…試されているのか?



目の前に居る仁王に僕は戸惑った

声、顔、雰囲気
全ては仁王

そう…全て仁王なんだけど…


『にお…なんで眼鏡…?』


しかも柳生が掛けてる眼鏡
何故か眼鏡、うん。しかも似合ってる


「ようやく気付きましたか」


仁王の顔で紳士ぶった声が聞こえたかと思うとイリュージョンを解いた柳生


『えっと…人を騙すのは紳士道に反するのでは?』
「いつまでも私と仁王君を見分けることが出来ないのでそろそろヒントをあげようかと思いまして」
『はぁ…』


確かに僕は仁王と柳生が見分けられない

テニス部のファンクラブの間では密かにこの二人の見分ける賭けが行われるくらい精巧にイリュージョンは成り立っている

ちなみにファンクラブ部長さんでも五分五分の勝敗

毎日仁王や柳生を眺めて崇拝される女子でさえ分からないのだ
僕に分かるわけがない
一クラスメートの僕に



「ですから今日は眼鏡を掛けてみました」
『そうですね。』
「しかしユウ君は私に「仁王」と呼びかけました」
『仁王の顔して柳生の眼鏡掛けてたら普通に仁王が悪戯して取ったかと思うでしょ』
「普通に考えたらその仁王君が私だと気付きます」

気付かねぇよ!
お前は眼鏡中心で成り立ってんのか!


「心外ですね。私の中心は眼鏡で成り立っていません」
『心読むな、このニセ紳士め』


何故コイツは紳士と呼ばれるんだろうか?
時折コイツから放たれる黒いオーラを女子は見えていないのだろか?



「仕方がありません。もう一度チャンスをあげましょう」
『はい?』
「今度は私からきちんとヒントを差し上げます。それを踏まえて私と仁王君を見分けてください」


どうしてそんなに仁王と自分を見極めてほしいんだろうか?

柳生が僕の前で仁王の格好をしなければ良い話だし
仁王が僕の前で柳生の格好をしなければ良い話だ




「最大のヒントはですね―…」



そう言って柳生の顔が耳元へ来た


そして小さく




「私の方が仁王君よりも貴方のことを想っていると言うことです」
『っは!?』

「それでは、頑張ってくださいね。」



ひらひらと手を振り去っていく柳生


仁王より
柳生のは僕のことを想ってる…?




『え、いや…どういう意味…』


再び柳生に話しかけようと思ったがもう柳生の姿はどこにも無かった







(僕を見つけて)
(誰よりも貴方を思っている私を)
(他の男と間違えないで下さい)



     







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