あかずきんちゃん
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(赤ずきんパロ)
(主人公幼児設定)














「ユウ、幸村の所に見舞いに行ってきてくれないか?」


僕の名前はユウ
真田パパと柳ママの子供←笑う所


病気がちな幸村ばぁちゃんの所にワインとパンとお薬を届けるおつかいを頼まれました


『うん!行ってくる!』


幸村ばぁちゃんは優しいし大好きだから僕は二つで返事した



「オオカミには気を付けるんだぞ」

そう言って柳ママが僕に赤ずきんを被せた


『気を付けます!』


びしっと立ってパパとママにご挨拶
二人が優しい顔して笑ったのを見ると元気よく駆け出した



『あーるこー!あるーこー』


散歩のうたを歌って

森の小道を辿り
草花生い茂る森を駆け抜け


ふと気づくユウ君



『そだ、ばあちゃんお花大好きだからお花つんでいこう!』

横を見れば沢山の花

ユウ君はバスケットを置いてお花畑に駆け出しました



『この色も良いしー。あの色も良い』


ぷちぷち。とむしる音と共に近づく足音



「何してるんじゃ?」

ニヤと笑った銀色の狼にユウ君は一瞬たじろぎました




『なーんだ、におー君かっ』


それはユウ君が昔助けた狼の仁王君
仁王君を見るとへにゃと笑ったユウ君はつんだお花を見せて


『今から幸村ばぁちゃの所のお見舞いに行くのー』


にかっと音がするくらいの笑顔で狼仁王君に話しかけました



「ほう、ユウは偉いのぅ。」
『でしょー。』


仁王君に褒められて上機嫌のユウ君
ちなみに頭を撫でられてお花が飛んでいます


『あ、そろそろ行かなきゃ。じゃね?におー君』



両手にお花を抱えて本来の目的を思い出したユウ君は再びおばあちゃん家を目指して歩き出しました



「…お見舞い、のぅ…」


ニヤリ―と笑った狼にユウ君は気づくわけもなく
ただただ歌を歌って歩くだけでした



数時間後―


色々寄り道やマイペースに進んでいたせいで予定の時間よりも大幅に遅れてついたユウ君


扉の前に立って深呼吸
そして―



『おばーちゃーん!お見舞いですよー!』


中に居るであろうおばあちゃんを呼びます



「いらっしゃい、良く来たね」


パジャマ姿の青髪のおばあちゃん
幸村おばあちゃんはユウの姿を見て微笑みました



『おばあちゃん具合どぉ?』
「そうだね、ユウが来てくれたからましになったかな?」
『なら良かった』


そして今まで寄り道して来た時につんだお花や綺麗な石
そしてパパが怖いことなど幸村おばあちゃんに沢山お話します


「そう、真田がそんなことを…おばあちゃんが絞めてあげるね?」


笑顔でそう言った幸村おばあちゃん
普通の人なら身の毛もよだつ程の怖さですが能天気ユウ君には効きません
素直に「うん!」と頷きました



『…ん?ばあちゃ…なんでにおー君みたいな尻尾があるの?』

ふと、ユウ君は気付き、おばあちゃんに問いました


「なんでだろうね?」


それでもニコリと笑って答えないおばあちゃん


『ばあちゃ…におー君?』
「プリッ」

『におー君!!』


プリっと鳴いたおばあちゃんに確信を持ったユウ君は詰め寄ります


『におー君!おばあちゃんは!?』
「さあ?どこじゃろうなぁ?」
『や!ばぁちゃ返して!』


泣き始めたユウ君
慌てて仁王君はユウ君を抱きしめました


「ホンマはおばあちゃんは悪い奴でな?ユウを食べようとしちょったから変わりに俺が食べたんじゃ」
『ばあちゃが僕を…?』

「そうじゃ。じゃけぇ、ほら。見たことも無い植物の餌にしようとしとったんじゃ」


遠くの方にあったおばあちゃん自慢の植物を指差して仁王君は言いました


『におー君は…僕を食べない…?』
「もちろんじゃ。ユウを食べる訳ないじゃろ」
『ならにおー君好きっ…』
「違う意味でならありえんくはないかもだけどのぅ…」

「ちょっと仁王君!真面目にやりたまえ!」
「そこで仁王がユウ食べないと俺等出番ないだろぃ!」

抱き合い、危うくハッピーエンドになりかけたこの話に乱入してきた狩人の柳生君とブン太君


『おじさん達誰ぇぇぇっ!』


音を立てて入ってきた二人はユウとっては不審者以外何者にも見えません


「泣くんじゃなか。大丈夫じゃけぇ」

「そうですよ!ユウ君!私達は君を救うためにこの悪い狼を倒しにきたのです」

『におー君殺しちゃうのっ!?そのてっぽうで撃っちゃうの!?』

「や、鉄砲っつーか…猟銃なんだけど…」

「そうじゃよ。このおじさん達は俺を撃って殺してしまうんじゃ」
『そんなのやぁぁぁぁぁっ!』


金きり声を上げたユウ君


『おひきとりください!』
「は、はい?」


ユウ君は意を決していつも柳ママが酷い勧誘をするセールスマンを追い返す時のことを思い出して叫びました


『うちは間に合ってますのでおひきとりください!』
「や!狼間に合ってねぇだろぃ!」
「そうですよユウ君!後々危ないことになりますよ!」

『だってにおー君は僕食べないもん!』

「実質的に食べることは無いとしてでもですね!仁王君は何をするか分かりませんよ!」
「そうだそうだ!もしかしたらとんでもないことされるかもしんねーぞ!」

「おまんらの目に俺は今までどう映っとったんじゃ…」


内心ざっくり傷ついた仁王君
そんな仁王君をよそに二人は続けます


「ちょっとー。うるさいんですけどー」
「ほんと、迷惑なんスけども…」

「ああ、すみません。奥方様。すぐに済みますので」


お隣から顔を出したジャッカル夫人と赤也夫人


「そんな物騒なもん持って、何するつもりなんスか」
「狼をですね!」
「狼!?」


「面倒なことになったぜよ…」


ゾロゾロ出てくる登場人物に仁王君はユウ君を抱え外に出ました


「そうなんです!その狼はここの幸村君を食べてですね!」
「俺がどうしたって?」
「はい?」


赤也夫人やジャッカル夫人が出てきたように同じ家から出てきた幸村おばあちゃん


「幸村さんはずっと俺達と一緒にお茶してましたけど?」
「そうッスよ」

「え?っつーことは仁王は誰も食べてない…」


ブン太君が状況を整理して確認すると


「うちのユウがそちらに行っていないか?」
「こんな時間になっても帰ってこんとは…」


遅い帰りを心配した柳ママと真田パパが幸村邸に到着しました


「ユウ?着てないと思うけど…?」
「いや!さっきまでここに居たんです!」
「狼仁王と一緒に!」


慌てふためく猟師二人


「なに!ユウが狼にさらわれただと!?」
「仁王なんか一番危ないじゃないか!」
「皆、手分けしてさがして。仁王を見つけた場合は抹消してもかまわないから」

「「イエッサー!!」」


姿を消した子供一人と狼一匹
どれだけ森を探しても
二人は一生見つからなかったのだとか…


誰も二人生死を知る者はいないまま

森の住人は一人、また一人と

居なくなったのでありました



おしまい



     







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