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 丸めこむ所は流石エリート様

依頼の代価を持ち合わせていないと言われたので、それではツケでもいいと言って置いた。そうしたら今夜いい席を予約していると言うので、夕食をおごって貰うことに。子ども達を連れて行きたかったが、場の雰囲気に合わない、予約席は2つだけだと後付され仕方なく2人で赴いた。今夜子ども2人分の夕食は彼に小切手を切って渡され。自分はと言うと妙に落ち着かない、食事中食器の持ち運びにさえ気を遣わなければならない夕食会に付き合うハメに。小さく室内に響くクラシックと豪華なカーペット、磨き上げられた食器が眩しかった。緊張したせいで食べたものの味さえ感じられない最悪なものだった。

「やはり、合いませんでしたか」
「合わねーよ。俺ァどっちかと言うと皆と酒酌み交わしてドンチャン騒ぎして盛り上がる方が好きなんだ」
「すみませんねぇ。そちらの趣向と合わなくて」
「どっと疲れる晩飯で食った気しねぇよ。今度こういうパターンの時は酒とつまみ、でガキ等の分の食事代でも用意しとけや」
「分かりました」

てかディナーとか俺のタイプじゃねぇ。と銀時は口先を尖らせて佐々木に愚痴る。そもそも依頼するのだから金は用意しておけ、とか愚痴愚痴と思う。第一日常的にエリートエリートしつこい彼が持ち合わせがないとか、あり得ないのだが。そう思う矢先にふと冷たい風が肌を撫でて露出する二の腕やさらけ出す首筋がそわりとした。

てかむさくね?俺とあんたが2人でディナーって。
何がしたいんだコイツ。おっさん連れ込んでさ。

「坂田さん」
「なんざましょ」
「今度はそちらの趣向に合った食事でも」
「あー、でもそうなるとそっちが合わないんじゃね?」
「ご心配なく。どんな環境に適応してこそエリートです」
「あっそう・・・・」

とりあえず、この寒い風に震えて肩にかけられた白い隊服がズルズル地面を引きずっているのだが、これを何とかしたい。

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