黒執事 | ナノ

 ホワイトローズは待ち焦がれ

「おやおや」

セバスチャンはとある花瓶の前で困った顔をしていた。
シエルの部屋に掃除に来た時気が付いた事である。今年品種改良に成功したという、珍しく白い色の薔薇が咲くという苗を購入したばかりだったのに、枯れてしまっていた。

「どうした?セバスチャン」

声をかけられて振り向いたら、そこにシエルが立っていた。
その気配に気が付かなかった位に夢中だったらしくセバスチャンは少しだけ驚いていたが、すぐに花瓶に視線を戻す。

「薔薇が枯れてしまいました。購入したばかりでしたのに」
「構わん。枯らしておけ」

えっとセバスチャンは再び振り向く。
少し強張った表情でシエルを見つめた。

「私の目配りがいけなかったからですか?」
「そういう意味ではない。ここはボクの部屋だ。枯れてしまったのも仕方がない」
「ですがこのまま枯らせてしまうのは可哀想です」

シエルは言葉の意味が分かっていないセバスチャンを呼ぶ。
シエルはそっとソファに腰を下ろし、そこにセバスチャンをかがませた。

「白薔薇の花言葉を知っているか?」
「“心からの尊敬”、“無邪気”、“純粋”“私はあなたにふさわしい”でしたよね」
「では枯れた薔薇の花言葉は知っているか?」

そっとすぐ近くにある頬に触れるシエルは、優しく微笑んだ。
暫く考える間シエルは枯れたをセバスチャンにそっと差し出す。
驚くセバスチャンにシエルは留めの一言を呟く。その言葉を聞かされた直後、薔薇と主を交互に見るセバスチャンは少しだけ顔を赤くした。









「枯れたバラは“生涯を誓う”…だ」








あとがき
ちなみに蕾の白薔薇の花言葉は「あなたに恋をするには若すぎる」です。
初シエセバがこんな甘々になるとは…!
(byめんつゆ)

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