黒執事 | ナノ

 危険な誘惑

私はウィリアム・T・スピアーズ。
死神派遣協会管理課に勤めている。
死神である私には忌み嫌う存在がいる。それは悪魔。
我々死神の葬送を邪魔し、横から魂を掠めとる害獣。
あのようなものたちには反吐がでる。
「こんばんは、ウィリアムさん」
「…」
死神の人員不足で現場に駆り出された私は、仕事を終え今まさに魂を回収したところだ。そこに現れた存在。それこそが忌まわしき…
「お疲れさまです。もうお仕事は終わりですか?」
にこりと笑み言葉を発するのは悪魔…セバスチャン・ミカエリス。
彼は悪魔にも関わらず執事をしている、契約に己の美学を追求する稀有な存在だ。
「何故…貴方がここに?まさか“狩り”ですか?」
そう、何故こんなところに。あの子どもも連れずに出歩くとは…まさか本当に狩り?飢えて…
「まさか。私は貴方に会いに来ただけです」
「…意味がわかりません。何故私に」
「貴方なら私を満足させてくれるのではないかと」
「…ッ!?」
いつの間にか私の目前に迫っていたセバスチャンに眉を寄せる。
「私は退屈なんですよ。だから刺激をください…」
ツーッと長い指先で唇を撫でるセバスチャンは厭らしく笑む。
その姿は美しく、紅い瞳に吸い込まれてしまいそう。
そんな彼の手を払いのけ、動揺は隠して冷めた目で見る。
「…害獣が」
触れた唇からやや冷たい熱が伝わる。それは甘美な刺激。
決して悪魔に囚われぬよう気をつけながら、この男と一時の交わりを持つのだった。
ーーーそれはあまりに危険で甘美なもの。



由姫様から頂いたウィルセバ。大人の恋が好物な姫子は表情筋が…!
めんつゆ様と合同でセバ受けサイトを開いていた時に譲り受けた小説です。素敵な小説を有難うございます!


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