曲物語

※私的解釈・理解・想像
※短文・会話・或は長文
※歌詞引用はしません
※曲の名と文の題は別
※寧ろ、文に題は無し
※不快に思う方に謝罪


2011/09/02 12:56

キキッと鈍い音を立てて車が廃れたモーテルに停まる。車を降り、手早く受付を済ませ、安っぽい鍵を受け取り、これまた安っぽい部屋に入る。一通り部屋を見渡し、彼女に先にシャワーを使うように言う。思った程汚くはない。
どれだけの距離を走ったのかは定かではないが、蓄積された疲労が襲う。それでも、まだ、足りない。きっと何処まで行っても、頭の中で鳴り響く警告音は消えないのだろう。逃げろ、と煩く鳴り響く。

「明日は何処へ行くの?」

シャワーを浴び終わった彼女がふと、尋ねる。

「何処へでも」
(君の望む所へ)

「南に?」
「北でも」
「東は?」
「西でも」

彼女は嬉しそうに笑う。

「愛してる」
「兄さん」
「名前で呼んで」

僕の名前を呼ぼうとした妹の口を塞ぐ。

誰よりも幸せから遠くて近い僕等。
(神様なんて、信じない)



空が鳴っている/東京事変



2011/04/22 12:55

照明は良い感じに薄暗く、DJが流す曲はもうそれナイス!と言いたくなる選曲。俺の横で女を口説く、ムカつくぐらい整った顔をしたダチ主催のパーティは盛大に盛り上がっている。

整った顔だけでなく、親が金持ちとか、どんだけ人生エンジョイなんだよと、嫌味も言いたくなる。しかし、今日この日だけは、この顔の整ったダチに感謝をしなくてはならない。何故ならばそう、このパーティは俺の脱童貞の為のパーティなのだから。

パーティも中盤に入り、良い感じに回りの空気とテンションに酔ってきた俺は、ドストライクに好みの女に声をかけた。勿論、手にはアルコール。未成年の飲酒喫煙は法律で禁止されています。んなこた解っちゃいるけど、この緊張を紛らわすものは、アルコール以外無いんです。って事で、法律許して、喫煙はしませんから。

アルコールの力と、回りの雰囲気のお陰で上手く喋る事ができ、楽しくこの時間を一緒に過ごす。彼女が笑ったりする度に胸元から見える、柔らかそうな胸を触りたい、と言う欲求を密かに我慢しながら、これからの展開をどう運ぶか頭で考える。

ていうか、もう、そんな大胆に胸元が開いた服なんて着ないで下さい。俺の理性はすんごく脆いから。てか、ヤる気で来てるから。

色々頭で考えているけど、肝心のこれからのお楽しみには辿り着けない。彼女が足を組み換える仕種にすら、軽く欲情するのに、なんて生殺し!これだから、チェリーボーイは駄目なんだ!と自分自身を叱咤する。

行け、俺。今日は大人の階段を上るんだろうが。ここで引き下がったら、後でイケメンのあいつに何て言われるか、解ったもんじゃない。いや、あいつは関係なく、今色んな意味で俺自身の問題なんだ!

「あ、あの、今から俺と一発ヤりませんか!」

俺の一世一代の告白、彼女に伝われ!

「ふざけんじゃねぇよ、変態野郎!」

帰ってきたのは、罵声とやけに威勢の良い右ストレート。

当然、俺はノックアウト。



恋のメガラバ/マキシマムザホルモン

※未成年の飲酒喫煙は法律で禁止されています。



2011/03/25 00:16

「明日、俺引越しするんだ」

そんなの聞いてない、と目を見開く君を見る。

「え、何、嘘」

動揺する君を見ると、自分がどれだけ酷い奴なのかを思い知らされる。悲しませたくなかったのに。

小さい頃からずっと一緒で、隣に居るのはいつも君だった。隣に居る事が当たり前だと思っていた。その当たり前が、明日から無くなる。

「何処へ、引っ越すの?」

そう聞かれて、引越先を告げれば、どうしてそんな遠い所に、と君が言う。目を伏せる君を慰める資格なんて、俺には無い。

引越し当日、見送りに来た君の眼は、今まで見た事が無い程、赤く腫れていた。

「また、逢えるよね」

車が発進する直前、君が呟く。俺は、ただ頷く。

「ばいばい、」

最後が聞き取れなかった。泣く君を見ていられなかった。

「ごめんな、さよなら」

何度も俺は繰り返した。

「ごめん、ごめんな」


どんどん小さくなっていく君の姿。最後まで、1番言いたかった事は言えなかった。それでもまた、いつか出逢えたら。



オレンジ/SMAP



2011/03/06 00:04

全て嘘なのは承知の通りで。迷えばただの犬死になのも、承知の通り。

一週間前に死んだ姐さんは、金の無い男に惚れて、その金の無い男と一緒に死んだ。心中なんて、流行らない。死んだら何も無い。何も遺らない。

私は姐さんとは違う。私は死なない、哀しくはない。

私は生きると、あの日に決めた。

だから、どうか。

(愛を教えないで)


茎/椎名林檎



← | →



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -